マウンティングの虚像 Vol.12

軽薄な行動が招いた結果。彼に去られ、レストランに1人取り残された女の虚しさ

―マウンティングとは霊長類に見られる、社会的序列の確認と自己顕示のための行為。

東京の女たちは今日も霊長類のごとく、笑顔の裏でマウンティングを繰り広げている。

だが、一部の女は気づき始めた。 マウンティングは、虚像でしかないことを。

果たして、その世界から抜け出した先には、どんな世界が広がっているのか。

東京でそれぞれの価値観で生きる、大手出版社に勤める麻耶(26歳)、港区女子・カリナ(27歳)、マウンティングとは無縁な女・玲奈(26歳)の3人。

麻耶は、恋愛や結婚適齢期の女友達との付き合いなどから、マウンティングに振り回されない生き方を学んでいく。


SNSとの距離感は、相変わらず苦手。


「わっ、紫陽花が綺麗。」

姉と甥っ子と一緒に、近所にある公園の散歩道に入ると、梅雨らしく色彩豊かな紫陽花が一気に視界に飛び込んできた。

雨が上がった少しの間を狙って散歩に出たのだが、土が濡れたような、あの独特な匂いが鼻につく。季節の変わり目を告げる空気を感じながら、麻耶は迷わずスマホを取り出した。

紫陽花をズームアップで。それから次に、甥っ子もフレームに入れて、もう何枚か撮った。

「これで、完璧。」

麻耶は一人、満足げな声を出す。

「麻耶、亮の顔が写ってる写真は、SNSとかにあげないでよ。」

「大丈夫!うつむいて、顔が見えない写真にするから。」

どんなタグをつけようかと考えながら歩く麻耶には、甥っ子のはしゃぐ声や、濡れた土の匂いはもう届かなかった。

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