五反田ラバー Vol.5

「目黒行こ」にふざけんな?五反田だってランチはある!老舗洋食屋で、交際を迫る

東京では、初デートの街を五反田にすると女の子から冷めた目で見られることもある。

だが、おにやんまのうどんに感動したことをきっかけに、五反田という街のディープさにすっかり虜になり、周囲へ五反田の良さを啓蒙し、“五反田ラバー”の布教活動に勤しむようになった男がいる。

雑誌編集者・健太(29歳)。気になる女性・加代を五反田に誘うも、「えっ、ここ、五反田だし」と五反田ではデートと思ってもらえず、見事撃沈してしまう。

だがめげずに五反田に引っ越してきた章吾と『ミート矢澤』で、五反田会を結成する。

そしてもう一度加代をデートに誘い、『酒場 それがし』で楽しく飲んでいたが、気付けば自宅で一緒に朝を迎えてしまい……?


記憶を辿るも、思い出せない昨夜の出来事・・・


隣でぐっすり眠る加代の寝顔を見ながら、健太は二日酔いの頭をフル回転させた。

『酒場 それがし』 を出て、五反田ヒルズで1杯ずつ飲んだ事は思いだした。だが、自宅に帰ってからの記憶はない。

しんと静まりかえる部屋で、ただ、加代が目を覚ますのを待つしかなく、ベッドに入ったまま天井を見上げた。

しばらくそうしていると、加代がごそごそと動き出し、それに合わせるように、健太の鼓動は早くなる。

「ん……、健太くん?」

加代の小さな声を聞いて、鼓動はさらに早くなる。

「あ、加代ちゃんおはよう」

寝起きの顔はあまり見られたくないかと思い、あからさまに目線そらして言った。加代は両手で顔を覆っているようだ。

「あの……、お水、飲む?」

チラリと加代を見て言うと、彼女は両手でぐいとシーツを引っ張り、照れたように顔を隠す。だがすぐに、大きな目だけ出して「うん、お願い」と、小さな声で言ってきた。

ミネラルウォーターをグラスに注いで、加代に差し出しながら聞いた。

「昨日は、オレたち……」

健太が言うと、加代は顔を隠していたシーツを下ろしながらゆっくりと起き上がる。健太は彼女の表情を伺おうとするが、朝日を浴びて艶めく髪に隠れてどんな表情をしているのか、読み取ることはできなかった。

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