五反田ラバー Vol.2

「だってここ、五反田だし。」デートのはずが、デートじゃない?五反田ラバー、涙を呑む

世間では、初デートの街を五反田にすると女の子から冷めた目で見られることもある。

だが、ある事をきっかけに、五反田という街のディープさにすっかり虜になり、周囲へ五反田の良さを啓蒙し、“五反田ラバー”の布教活動に勤しむようになった男がいる。

雑誌編集者・健太(29歳)。今回は、10年近く恋愛から遠ざかっていた彼の、五反田デートの模様をお届けしよう。


長い恋が終わった、その先の人生


健太は、19歳から28歳までの9年間を、一人の女性とともに過ごした。

相手は明治大学で同じサークルに入っていたヒカリだ。彼女と過ごした9年間は、振り返ればとても長く濃密な時間だった。

別れて1年以上が経った今でも、やはりヒカリの事を思い出す場面は多い。かといって感傷に浸っているわけではない。

9年も付き合っていると、ケンカをすることもほとんどなく、穏やかな関係が続いた。だが皮肉なことに、それが別れの原因となった。

落ち着いた関係から、結婚への情熱ときっかけを見出すことができなかったのだ。

健太が年末に向けて五反田の自宅を大掃除していると、ヒカリと付き合い始めて間もない頃の二人の写真がでてきた。

写真に写る健太は、今よりも5kg以上は痩せており肌も滑らかで、一方のヒカリは髪を明るい栗色に染め、その年代の女の子特有のふっくらとした頬で笑っていた。

顔を寄せ合い笑う二人は、まだあどけなさが残っていた。それくらい長い時間を共にした事を、あらためて実感したのだった。

そしてようやく、ヒカリと別れて以来初めて、好きになれそうな人に出会えた。明日はその彼女とのデートだ。

「ヤバい、緊張するぜ……」

健太は片付いた部屋の中で一人、小さく呟いた。

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