2015.06.20
SPECIAL TALK Vol.9大学時代はバンドとスキーに没頭
金丸:その後、ラサール高校から東京大学法学部に進学されます。大学時代は何をされていましたか?
片野坂:バンドをやっていました。髪の毛を伸ばして、ベルボトムのジーンズをはいて、仲間と3名で学園祭ジャックをしたりしていましたね。
金丸:それは意外ですね。私もバンドをしていたのですが、どのぐらい本気でバンド活動をされていたのですか?
片野坂:東大には、学園祭と五月祭という2大イベントがあるのですが、その2回の大舞台に向けて全力で練習していました。そういえば、私が4年生のときの司会は、夏目雅子さんでした。
金丸:それは羨ましいですね。
片野坂:学園祭にはプロ級のバンドが数多く出るなか、なぜかいつもトリを務めていました。おそらくメンバーに政治力があったのだと思います(笑)。その頃はフォークソングが主流だったんですが、私たちはあえてキャロルを演奏していました。哲学者みたいな顔をして歌い上げるフォークに対抗するには、キャロルのようなノリのよい曲でないといけないと考えまして。だから、私たちのバンドが出てくると、みんな一斉に踊り出すんですよ。やっとノリノリになれると。
金丸:それまで自己陶酔型の曲を聞かされたものだから、爆発するわけですね。その頃から、マーケット志向や顧客志向をお持ちだったのですね。
片野坂:そんな大層なものではありません(笑)。当時は、二足のわらじを履く人に憧れていましたね。お医者さんでフォークシンガーとか。私はお医者さんで小説家になりたかったんですよ。
金丸:医者ですか? 医者になるには、我々の世代は国立の医学部に行くのが定番でしたね。しかし、入られたのは法学部。
片野坂:ということもあって、本当に音楽に没頭していました。あとはスキーにも。
金丸:勝手ながら、海外に頻繁に行かれていたようなイメージを持っていました。
片野坂:大学時代は、海外にはほとんど行っていません。スキーばかりでしたね。南国生まれですから、スキーへの憧れが強かったんです。1年生のときにアルバイトをしてウェアを買ったのですが、そこで資金が尽きてしまって、結局スキー場には行けず(笑)。
金丸:その後はどうなったのですか?
片野坂:初めてスキーに行ったときは、素人ふたりだったので大変でした。まずリフトにうまく乗れなくて、大渋滞を起こしてしまい……。悲しいかな、「今から初心者ふたりが上に行くから!」とスタッフの方が連絡を取っていて、上がったら上がったで、ゲレンデに放り出され……。誰も教えてくれないから、まったく滑ることができず、結局スキースクールに通うことになりました。それから徐々にスキーが好きになっていきましたね。
金丸:私も40歳を過ぎて、息子に「友達の家族は毎年冬にスキーに行っているんだけど、うちはどうして行かないの?」と言われ、42歳か43歳のときに始めました。そして、初めてのスキーでコースをショートカットしようとしたために、遭難しかけてしまいまして(笑)。大変な思いをしました。今でもスキーは続けられているのですか?
片野坂:残念ながら、今はやりません。社長という立場上、スキーは骨折や怪我をする可能性がありますからね。しかし、経営企画部のときはアメリカ、ユタ州のソルトレイクや北海道に行くスキーツアーを企画して、自分も滑りに行ったりしていました。
金丸:学生時代はバンドと学園祭荒らしとスキー三昧だったというわけですが、就職活動はどうだったんですか?
片野坂:ANAのほかに、当時日本一給料の高かった損保会社やテレビ局、ガス会社などを受けました。テレビ局は最終面接で、有名なプロデューサーの名前を言えず落ちてしまいましたが、複数の企業から内定をいただきました。その中でANAは雰囲気が良く、好印象でした。
金丸:当時は商社が人気で、非常に勢いがありましたよね。
片野坂:就職活動で様々な企業を訪問しましたが、エントリーするにも実際に会社へ足を運ばないといけなかったので、就職したい会社が自然と絞られましたね。逆にいまの学生は大変ですよね。インターネット経由でエントリーすればいいから、興味があればいくらでも出せてしまいますし。
金丸:そうですね。ANAの選考は印象に残っていますか?
片野坂:面接で「何がしたいの?」と聞かれ、少しでも勉強している感が出せるかと思って「僕は運航管理の仕事がしたい」と答えたんです。でも、それが墓穴を掘ってしまいまして……。「その仕事は国家資格が必要だよ」と返され、一瞬気まずい思いをしたのですが、そこから体力があることをアピールして、うまく挽回しました。
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