産まない女 Vol.7

産まない女:殻を破ることのできた40代。私は“私の人生の選択”をしただけ

少子化の今、産まないという考え方は“悪いこと”なのだろうか。

多くが出産を望み、命が生まれることは素晴らしいことだ。しかし、“産まない”という選択肢を選ぶことも否定はできない。決して子供が望めない体でもない、嫌いなわけでもないが、産む決断と同じように、産まない決断をする女性も増えている。

これまで、20代にして産まないことを決意した和香(29)、DINKSでいることを選んだ真奈美(36)、独身を謳歌しているバツイチの恵美(43)、結婚15年目を迎えた香織(46)を紹介した。

前回からはこれまで結婚も出産もすることなく、ひとりでここまで生きてきた雪乃(49)にスポットを当て、彼女の20代30代を振り返った。

27歳のとき彼氏にプロポーズをされ、同時に仕事の転機を迎える。しかし、“仕事”を選んだ雪乃は同時に彼との別れを決断した。ひとりで生きていくことを母に話し、自分らしくいていいことを教えてもらった。33歳までは仕事もプライベートも楽しんでいたが、突如、不幸な出来事に見舞われる。

その後は、運命の人だと実感する彼にも出会い、酸いも甘いも経験して、ひとつ成長した雪乃。今回はいまの彼女に迫りたい。


42歳:運命の相手だと思った人との別れ


38歳のときに付き合った彼とは昨年だめになってしまった。理由は彼の本音を受け入れられなかったことだ。

「雪乃と結婚したい」と言われたときは、20代のときと違い純粋にしてもいいかなと思えた。同棲を初めて1年半が経ち、きっと籍を入れたところで関係性も生活もいまと変わらない。そう思えていたのである。

しかし彼が考えている結婚というのは、雪乃とまったく違った。

「結婚したらきちんと家庭を作ろう。息子にも理解してもらうし、君との子供が欲しいんだ」

普通であれば“家庭を作ろう”と言われることが嬉しいのだと思う。40代とは言え、周りに子供を産んでいる人はいるし妙な話ではない。しかし、彼は本当に自分との家庭を望んでいるようには感じなかった。それは彼の前妻が再婚することになった、という話を聞いたからだと思う。

前妻の再婚相手は優しく、息子とも仲良くやれているそうだ。彼はその話を寂しそうに私に聞かせた。そして彼が家庭を作りたいと言い出したのもその後から。きっと私とではなく、“寂しさ”から家庭を作りたいのだ。

寂しいという気持ちはよくわかる。私が彼と付き合うようになったのも、ひとりでいることにどこか寂しさがあったのかもしれない。だから、一緒にいることで幸せを感じられた。しかし、家庭を作りたいだけなら私ではない人がいいに決まっている。自分は子供を産むということから離脱した身だし、それはもう変えられない。彼にはそのことをしっかりと説明した。

「君はどうしてそこまで頑固に、子供を産まないと決めつけるんだ? 雪乃だってお母さんから生まれてきたじゃないか」

確かに私は母が願って生まれてきた子供だ。あまり子供ができなかったという母にとって、私は宝物のように育てられた。こうして伸び伸びと生きているのも、母がいたからというのは十分に理解している。しかし、だからといって“自分も産む”というのが当たり前の考えは、少し違う気がしている。

「母は子供を産んでほしいから自分を産んだわけではないし、わたしも産むために生まれてきたのではない」

と彼には自分の気持ちを伝えたが、もちろんわかったとすぐに納得できるはずがない。結局そのまま同棲は解消され、意見は交わることのないまま彼とは別れたのである。

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