学歴カレンダー Vol.15

学歴カレンダー:誰もが羨むエリート商社マンとの恋愛で捨て切れなかった、慶應ガール30歳のプライド

神奈川県の公立高校から、慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、丸の内の大手人材会社に勤める絵理奈(30)。周りの友人たちは“恋愛対象になるのは最低でも早慶レベル"と口を揃え、その言葉を証明するかのように42歳の「元」慶應ボーイ・芹沢コスパ重視の一橋卒・淳一郎など様々な学歴の男性とのデートを試みる。

その中でも東工大卒の健二の誠実さに惹かれ付き合うが、女心が分からない彼に我慢ができず別れてしまう。その後京大卒の慎太郎の紹介で、遊び人風の同志社卒の裕太とデートするが、彼が想いを寄せるのは親友の美和子だった。

裕太との関係を清算した後、早稲田卒の文学青年・春馬に一目惚れし、ロマンチストな彼と濃密な日々を過ごす。しかし寂しがりやの彼に浮気され、再び1人になった絵理奈はついに30歳の誕生日を迎えることになるが……?


男は裏切っても自分の努力は裏切らない? 30歳の誕生日、一人で過ごすジムで決意したこと


早稲田卒・春馬との恋が終わったあと、淡々と過ごしていた絵理奈の日常は規則性が増していた。会社帰りに出会いの場所に繰り出すこともなく、家の近くのジムに通う日々だ。

「男性は裏切っても自分の努力は裏切らない。」

モテない女が考えそうなことだと自嘲的になりながら、体を動かして余分なものを削ぎ落としていく感覚に日増しにハマっていった。

しかし、さすがにこのままではマズイかも、と思い直したのは30歳の誕生日だった。その日もいつも通りジムのプールで泳いでいた。

スポーツのいいところは、全身の血流が良くなり気持ちも自然と前向きになるところだ。25mプールを何往復かして、けだるくなった体をクールダウンさせながら、ハタチの頃に思い浮かべていた「30歳の理想の女性像」を思い返していた。

それは東京でバリバリ働きながら上質な服と化粧を纏い、“最低限”結婚はしているはずの自分の姿だった。

それに比べると30歳になった今の自分はどうだろう。ジムのプールで一人ぼっちで泳ぐ日々だ。

31歳を迎える来年の今頃までには絶対幸せになる、そう決意した。

高身長、高収入、高学歴。完璧過ぎて恋愛対象にならなかった男


その週の週末は年に一回行われるゼミの同窓会だった。絵理奈が入っていたのは20年ほど続く伝統あるゼミだった。1期生の幹事が教授を招いてやるこの会合は、仲間内の気楽な集まりではなく、人脈を広げてその後の仕事につながることもあるようなパブリック的な要素が強いものだった。

その集まりで久しぶりに会う同期の顔があった。彼の名は望月純平、大手総合商社勤務。海外出張が多くこの会合にも出席できていなかった彼と会うのは卒業以来だった。彼は、代々続く鉄鋼商社を経営している名家の跡取り息子だった。親の圧力で新聞記者になる夢を諦め商社に入ったというのは有名な話だった。

「絵理奈、久しぶり。」

くっきりした二重瞼がしっかりと絵理奈の目をとらえ、口元からは清潔な白い歯が覗く。整った顔立ちに180センチを超える長身、適度に筋肉のついたスリムな容姿は誰から見ても完璧だった。

大学時代、彼からの好意には薄々気づいていた。しかし、幼稚舎から慶應に通っていた彼には幼なじみの彼女がいたし、完璧すぎる彼を恋愛対象として見たことは何故か一度もなかった。

学生時代の友人というのは不思議な存在だ。会って話せばたちまち学生時代の感覚に戻ってしまう。周りが結婚生活や子供の話をしている中で、絵理奈と純平は学生時代から変わらないバカ話や最近の恋愛事情で盛り上がった。

学生時代は好きになれなかった、裕福な家庭に産まれた男の子にありがちな傲慢で甘えた雰囲気がすっかりなくなっていた。社会に出て彼なりに厳しい荒波に揉まれたのだろう。仕事のことを話す彼の目つきは鋭く、頬は少し削げていた。

同窓会も終盤になり、まだ話し足りないと彼が明日の予定を聞いてきた。最近彼女と別れたばかりで週末はヒマらしい。明日の予定と言えばいつも通りジムに行くくらいで断る理由は特になかった。

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