日比谷線の女 Vol.14

日比谷線の女:東銀座に住む開業医の彼は、難攻不落のワケあり物件だった?!

過去に付き合ったり、関係を持った男たちは、なぜか皆、日比谷線沿線に住んでいた。

そんな、日比谷線の男たちと浮名を流してきた香織は、タワマンの篤志や弁護士の孝太郎と付き合うがあっけなく終わる。ワンナイト社内恋愛も経験し、涼とは恵比寿での半同棲を経て中目黒で同棲し、純一との不倫も経験した。築地の健一郎や人形町の祐介など、デート相手はいるが、結婚相手にはまだ出会えず…?

前回 vol.13:5歳下メガバンク勤務の彼との、小伝馬町でたったひとつの思い出


2014年、5歳年下の和哉との恋を早々に終えた香織は、結婚に照準を絞ることに決めた。それも、誰もが羨むハイクラスな男性との結婚だ。

31歳を目前にして「もしかしたらずっと一人かもしれない」という考えが頭をよぎることが増えるのと同時に、猛烈な結婚願望の波が押し寄せてきた。

仕事ではそれなりの成果も出しており、結婚しても変わらずに働くつもりでいる。一人でも少しは余裕のある生活ができるくらいの経済力はある。だが、ずっと一人でいる自分を想像すると、えも言われぬ不安と焦りがムクムクと沸き起こるのだった。

週末は予定が埋まらないことが増え、部屋で海外ドラマのDVDをダラダラだと観ながら、気づけばワインを1本空けている、なんてことも多かった。

こんな週末も嫌いではなかった。だが、隣に誰かがいてくれたらもっと幸せなのに、と思わずにはいられなかった。

そこで、今までのように食事会に行っているだけでは結婚できないと考えた香織は、婚活サイトに登録することを決めた。

入ったのは、女性の入会金は高いが、高収入男性が多く登録しているのが売りのサイトだ。とにかく写真にはこだわり、プロのカメラマンに詐欺にはならない程度の、奇跡の一枚を撮ってもらって登録した。

登録すると、思っていた以上に男性からのオファーが殺到し、20代のうちに登録しなかった自分を少しだけ責めた。医者に弁護士、会計士……と年収だけで見れば、社会の上澄みだけを集めたような場所がそこにあったのだ。

だが、いざ直接会ってみるとやはり、現実はそう甘くなかった。仕事をこなすように、立て続けに10人の男性と会ったが、お付き合いしたいとまで思える男性は一人もいなかった。

周りから、結婚には妥協も大事だと諭すように言われるが、果たしてそれが正しいとは思えないまま悶々と過ごしていた。この年まで運命の相手を待っているのだからこそ、余計に妥協はしたくなかった。

そんなある日、会社で3歳年下の後輩・由紀から九州出身者の会に誘われた。彼女は宮崎出身で、今までにも何度かその会に行ったことがあり、「楽しいから、同窓会にでも行く気持ちで香織さんもぜひ」と誘ってくれたのだ。


30人ほどが集まったこの会で、英明と知り合った。彼は熊本出身の40歳。銀座並木通りで皮膚科の開業医をしており、住まいは東銀座の松竹スクエアレジデンスの20階と、分かりやすいほどのハイクラス男だった。

歌舞伎座から晴海通りを歩いて5分もかからない場所に住み、生活のほとんどを銀座がある中央区で済ませているのだと楽しそうに喋っていた。

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