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日比谷線の女 Vol.5

日比谷線の女:愛とも恋とも違う、築地に住む15歳年上バツイチ男との10年

本記事は、2016年に公開された記事の再掲です。当時の空気感も含めて、お楽しみください。

過去に付き合ったり、関係を持った男たちは、なぜか皆、日比谷線沿線に住んでいた。

そんな、日比谷線の男たちと浮名を流してきた香織は、上京後立て続けにタワーマンションに住む2人の男と付き合ったが、どちらの恋もあっけなく終わった。その後は初めてのワンナイト社内恋愛も経験するが、どれも長続きしない。そんな香織の次なる相手は……?

日比谷線の女 vol.4:ディープな街・上野に住む先輩と、禁断の社内恋愛に目覚める


ブライダルチェックの結果を聞きに、香織は銀座のクリニックへ来ていた。

結婚を控え念のためにと受けた検査だから、大丈夫だろうと思いながらもやはり、検査結果というのは聞くまで安心できないものだ。

おそらく40代後半の、ショートカットで適度にスポーツをしているような溌剌とした印象を醸し出す女医から「大丈夫。特に何も問題ありませんでしたよ」とニッコリ微笑まれ、香織はホッと胸をなでおろした。

軽い足取りでクリニックを出ると、中央通りを和光本館がある銀座四丁目の交差点まで歩き、左へ曲がって晴海通りへ入る。

今夜の約束までまだ2時間以上ある。せっかくだからと先月オープンした東急プラザに行くのだ。

1階からぐるりと見て回り、屋上のオープンテラスまで来た頃にはさすがに少し疲れていた。休憩しようと6階まで戻り、ダイナミックな吹き抜けのカフェでソファに座った。しばらく休んで窓際まで行くと数寄屋橋交差点を見下ろすことができた。

銀座には今日も人が溢れている。交差点付近には一人で立っている女性が何人もおり、待ち合わせの相手を待っているのが伺える。

女性たちは皆、艶のある髪をなびかせ、小綺麗で春らしく軽やかな服と靴に身を包んでいる。

香織はぼんやりと外を眺めた後、約束の築地へ向かうことにした。

銀座から築地へは歩いて約15分。さっき歩いてきた晴海通りを銀座四丁目の交差点へ戻り、さらに進んで歌舞伎座を過ぎると築地本願寺の手前で新大橋通りに入り目的の店へと歩いた。

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日比谷線の女

過去に付き合ったり、関係を持った男たちは、なぜか皆、日比谷線沿線に住んでいた。

そんな、日比谷線の男たちと浮世を流してきた、長澤香織(33歳)。通称・“日比谷線の女”が、結婚を前に、日比谷線の男たちとの日々、そしてその街を慈しみを込めて振り返る。

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