いよいよ明日に迫った「婚外恋愛」最終話。
一挙に全話おさらい!
第1話:恵比寿の交差点にて
降りしきる雨の中、両手で持つ小花柄のフォックスアンブレラから時折顔を覗かせ、あの人がいないか遠慮がちに辺りを見渡す。
腕時計に目をやると20時03分。待ち合わせの JR 恵比寿駅に程近い小さな交差点にて、ひとり静かに佇む。結婚式の日も今日みたいにひどい雨だった。
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第2話 :古民家懐石料理屋の個室にて
大雨の中、少々わかりにくいお店までの道順をなんとか間違えずに辿り着くと、外観を見た結城さんが、恰好いいお店だなーと感嘆した。
玄関先で傘を閉じると雨に降られそうなので、すぐにレトロな引き戸を開け、遅れてきた事を詫びながら、中へと入る。生憎のお天気の中ありがとうございますと、上品な着物姿の女将が暖かく出迎えてくれた。
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第3話 :暖炉で燃えている綺麗な火
そう言えば、結城さんのプライベートをそれ以上知らない。あるいは、知ることが怖いのかもしれない。
『あふそや』を出て、恵比寿駅を迂回するように歩くと、途中に大きな陸橋がある。そのすぐ脇にあるビルの細い外階段を登り店内に入ると、漆黒の空間が広がる。外よりも圧倒的な暗闇だ。
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第4話 :8分19秒
一日のなかで、朝が一番好きだ。正確に言うと、朝の太陽の光を浴びる瞬間が好きだ。夜の湿った気持ちを、すーっと浄化してくれるような瞬間。生きとし生けるものに平等に注がれる光を浴びていると、私は生きていることを許されているのだ、と思う。
2年前に買った築5年目の中古マンションの13階。東向きの部屋からはいつも沢山の朝の光が差し込んでくる。
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第5話:コリドー街のプールバーにて、板チョコのように全身が溶ける
結城さんがいつの間にか心の深層に存在していた。それは今や確かな事実だ。例えると、それは深い森の奥に潜む小さな泉のようなものかもしれない。
誰にも気付かれることなく、沸々と静かに湧き出てきた小さな泉。一週間前、そこに一粒の水滴がぽつんと落ちてきて、ゆっくり音もなく徐々に波紋が広がっていった。
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第6話:コリドー街路地裏のイタリアンへ。無粋な結城に翻弄される
すぐに伝えたほうが良いと思い立ち、結城さんの傍に寄って耳打ちする。彼らを一瞥すると結城さんは知らない様子だったが、ふいに薄い笑みを浮かべると、出よう、と言った。
結城さんが慣れた手つきでキューをケースにしまい、出口に視線を向け、先に行っててと合図した。
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