前回までのあらすじ
34歳の『私』は、同じ証券会社に勤める10歳年上の結城に誘われ、ふたりきりで初めての夕食を共にした後、恵比寿のbar松虎に向かう。若年ながら本部長職に就き人望の厚い結城は妻子持ちであり、また、自身も既婚者であるが故に、その場限りの淡い恋心と割り切ろうとするが、バーの帰りがけに思いがけず結城からキスをされる。
第3話:暖炉で燃えている綺麗な火
一日のなかで、朝が一番好きだ。正確に言うと、朝の太陽の光を浴びる瞬間が好きだ。夜の湿った気持ちを、すーっと浄化してくれるような瞬間。生きとし生けるものに平等に注がれる光を浴びていると、私は生きていることを許されているのだ、と思う。
2年前に買った築5年目の中古マンションの13階。東......
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