SPECIAL TALK Vol.8

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映画の道を志すも大学入学で転機を迎える

金丸:その頃、スポーツやクラブ活動などはされていたのですか?

杉本:中高はずっとバスケットをしていました。あと、中学2年から高校3年の受験直前まで、趣味で8ミリ映画を撮影していましたね。

金丸:それは初耳ですね(笑)。どんなジャンルを撮られていたのですか?

杉本:いわゆる推理ものとかです。お恥ずかしながら、自分たちで脚本も書いていました。

金丸:割とまともなジャンルで安心しました(笑)。ほかにはどんな映画を?

杉本:シルベスタ・スタローンのアクションのような作品とか、当時の流行を追うように撮影していましたね。ですが、男子校なので当然ながら女優がいなくて、カッコつけて周辺の有名女子高の子に声をかけて、警備員に捕まったこともあります。想い出深いですね。

金丸:随分、大胆な行動ですね。それで、協力してくれた女子高生はいたのですか?

杉本:いなかったです(笑)。だから、綺麗な顔をした小柄な男子を連れてきて、女子を演じてもらいました。お母さんのブラジャーを持ってこさせて、カツラもちゃんと調達して。

そんな状況だから、僕らの映画に出演する女優さんは、全員顔が見えないんですよ。「杉本の映画の女優さんって、絶対顔が映らない」って(笑)。運動もして文化的な活動もして、そして、しっかり浪人もして。非常に楽しい高校生活でした。

金丸:映画を撮影していたとなると、その道で生きていこうという思いもあったのではないですか?

杉本:もちろん考えていました。映画の学校とか日芸とかに行きたかったんですよ。ぴあフィルムフェスティバルに出品して、雑誌に載ったこともあり、「映画の道で生きていけるかも」なんて思った矢先に、母を胃ガンで亡くしまして。私が高校2年生、母が41歳のときでした。発見が遅く、見つかってから6カ月ぐらいで逝ってしまいました。家族は男だけになったので、それから僕と弟で、家事を分担していました。

金丸:それは突然のことでしたね。高校2年生では、すべてを受け止めきれなかったのではないですか?

杉本:そうですね。いろいろとストレスが溜まっていたとは思います。それでも、自分の想いを伝えたくて、父に「映画で身を立てていきたい」と話しました。そのとき父から言われたことは、いまでも忘れません。

金丸:なんと仰ったのですか? お父様も言葉に悩まれたのではないでしょうか?

杉本:「バカを言うんじゃない」と。俺は、映画で食べていくことやスポーツで立身することを、決して馬鹿にしているわけじゃない。ただ、お前には、しっかり勉強をさせてきた。なぜかと言えば、勉強は自分が頑張りさえすれば、バックグラウンドに関係なく、誰とでも公平に競争できるからだ。

好きな道に進みたい気持ちもわかるが、まずは大学で勉強しなさい、と言われました。父の思いもよくわかったので、大学に進むことにしました。

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