SPECIAL TALK Vol.4

~多様性が求められる時代だからこそ自分流の視点を持つことが重要~

社会で大事なのは男女の性の多様性ではなく、考え方の多様性

金丸:今は、国内と海外のお仕事の割合はいかがですか?

佐々木:ユニカルインターナショナルも、イー・ウーマンの仕事も、基本的には国内です。海外には、OECDとかAPECなどを始めとする様々な国際会議でのスピーチで伺うことが多いです。

私が企画・主催している「国際女性ビジネス会議」は働く女性の会議としては、日本で一番歴史も長く、品質も高く、また規模も大きいんですね。昨年は安倍総理も登壇されましたので、海外からも非常に注目を集めています。ですから、女性の活躍に関する国際会議などで呼んでいただく機会が多いです。

金丸:佐々木さんは安倍政権が「女性の活躍」を掲げる前から、ご活躍されています。国を挙げて女性の活躍を促進していこう、という流れについてどのようなお気持ちでしょうか?

佐々木:総理が、女性の活躍が日本経済を促進する柱であると言ってくださることはとてもいいことだと思います。
男女平等でも、社会的責任でもなく、経済の柱であるということを国のリーダーが明言するというのはやはり意味があります。それも、国内だけでなく、海外でも言い続けてくださることが大変重要です。

総理の発信で経済界のトップが動きますし、海外でも国連やダボス会議で発言してくださると、海外の要人が聞いてくださるんですね。それがいい意味での、これからの外圧になってくると思います。

先日もフランスに講演で行った際、私が金曜の朝の登壇で、その前夜がクリスティーヌ・ラガルド(IMF専務理事)さんでした。ラガルドさんの講演中、突然日本がすごいという話をされたんです。日本の安倍総理が2020年に企業などで指導的地位に占める女性の割合を30%にすると発表したことを、会場は知ることになりました。

金丸:それを受けて、佐々木さんはどのようなお話をされたのですか?

佐々木:ラガルドさんが言及されたことは総理にとって、すごくいいプレッシャーになるという話をしました。総理に会ったときに、「あなた言ったわよね」と言い続けてくださるとうれしい、とも。
そして聴衆のみなさんに「様々なところで日本企業の人に会うでしょうから、日本は2020年に女性管理職が30%まで増えるんですよね、というプレシャーを与えてください」とも伝えました。

金丸:佐々木さんは、女性が活躍する時代を先取りしてきました。

佐々木:女性の活躍をテーマにしていたわけではないのですが、結果的にはそうなっていますね。
ただ、私のテーマは女性の活躍ではなく、ダイバーシティだということです。ダイバーシティとは、最近の企業や社会でのブーム的なキーワードになっていますが、これはブームではなく、本当に大切なコンセプトなんです。

私は「ダイバーシティこそが、経済成長のキーワード」であると、講演でも、コンサルテーションでも話し続けてきています。ダイバーシティとは、多様性という意味ですが、私が大切にしているのは、男女といった性の多様性ではなくて、考え方の多様性です。社会や企業の中に多様な視点があることが、グローバル社会での成長の鍵だと、考えているのです。

たとえば、商品開発のときにも、女性が使うとどうか、体の不自由な人が使うとどうか、高齢者が使うとどうか、などといった多様な視点でアイデアを点検した方が、よりよい商品ができますよね。

また、企業ではガバナンスを高めることが課題の一つですが、ボードミーティングでも、そこに10人の役員がいれば10通りの視点でディスカッションができた方が、一つのアイデアしか出ない役員会より健全でしょう。ガバナンスがきいている、ということになります。

つまりガバナンスという言葉も、イコール(=)ダイバーシティだと私は考えています。結局ガバナンスとは多方面からチェックすることですから。日本の経営者や政治家は、多様性が活きるような組織や人事システムを作らなくてはいけないと考えています。

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