SPECIAL TALK Vol.4

~多様性が求められる時代だからこそ自分流の視点を持つことが重要~

金丸恭文氏 フューチャーアーキテクト代表取締役会長CEO

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。産業競争力会議議員、規制改革会議委員、内閣官房IT本部 本部員、経済同友会 副代表幹事、NIRA代表理事を務める。

自分が選択したことを認識しながら人生を歩いていく

金丸:これからの若い人にとって、英語はどのように取り組めばよいとお考えですか? どうすれば身に付けられるのでしょうか?

佐々木:私が学生の頃は生の英語をメディアで聞く機会はほとんどありませんでした。しかし、今はテレビでも、インターネットでも、リアルタイムで英語が溢れています。学ぼうとする人は、たくさん聞いて、リピートすることが大切でしょう。私は時間管理も教えていますから、英語学習の仕方にも具体的なアイデアがあります。ただ、それ以前に大切なことは、英語はあくまで言語だということです。伝えたいことがなければ上達もしないし、会話も面白くありません。

ですから、「自分が何を言いたいのか」を深めることが同じように大切だと思います。今日ずっとお話してきましたが、「自分の視点」が重要です。これは、自分の考えを曲げないということでも、自分のことばかり話す、ということでもありません。ただ、「佐々木に聞いたら新しい視点で新鮮だった」という評判から、佐々木と喋りたい、佐々木とならいい議論ができそうだと思ってもらえる。

質問してもどこかで聞いたことがあるような話しかしてくれなかったら、その人と話をしたいとは思わないですよね。そのためには、たくさんの人と会い、考え、自分流の視点を高めなくてはいけないと思います。

金丸:海外に行くと、自分の意見を必ず聞かれます。私の知人もスイスに行った際に、京都のことを聞かれたそうです。しかし、全然知らないから、バカにされてしまって。日本のことを知って、自分がどうだという意見がなければ、中身のない人間だと思われてしまいます。日常会話の英語ができても、相手にされません。

佐々木:今、私が色々な国や人々から呼んでいただけるのは、私の視点がユニークで、わかりやすいと思っていただけているからだろうと思います。

金丸:10人いて、9人が右に行くと、右に行った人はみな安心しているのですが、実はその分、自分以外の8人と競争しなくてはいけません。

佐々木:私もそう思います。もし自分なら、9人中9番目だと思ってしまいますし(笑)。

金丸:みなが望むような道は激戦区になりがちです。10人中1人だったら、その時点で競争相手はいません。リスクはどちらが高いかというとわからないのです。ひとりということは、己との戦いになりますが、相対的な戦いの方がストレスも多いものです。

佐々木:私もこれまでの人生で、みんなが行くところには全然行きたいとは思いませんでした。

金丸:先ほど、主語を自分にして、私はこうします、こういう考えですと言うことを、佐々木さんは「訓練」とおっしゃいましたが、僕は「習慣」と言っています。ほんの些細なことでも、毎日少しずつ意識して過ごすことで、結果的に大きく違ってくると思うのです。

佐々木:そうですよね。意識して生活しています。

金丸:この人は面白いな、という方の話をお伺いしていると、いつも同じことを感じます。スティーブ・ジョブスは、そのときはそう思わなかったけど、後で振り返ると点と点が繋がって、全部が繋がっていく、という話をされていますが、佐々木さんも同じように思われたことはありますか?

佐々木:そうですね。逆にそう思わない理由がないですよね。自分が選択したことを、認識したり、認めたりしながら人生を歩いていくことが一番健全ではないでしょうか。過去を振り返って、自分自身が主体的に選んだことを認めて、初めて健全な心になれると思います。今から思えば、こっちを選んでいればよかったと思うことはありますよ。しかし、そんなことを考えてもしょうがないですからね。バックミラーばかり見ていては、前進してもぶつかります。自分がベストと思って選んだ道の積み重ねが今の自分なのです。

金丸:おっしゃる通りです。成功も失敗も、自分で選んだ道であれば、受け入れられる。本日はありがとうございました。

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