
食や酒はもちろん、空間や音楽にまで美学が息づき、トレンドに敏感な男女を魅了する話題の店。
そんな店をつくる人々が通う、嫉妬するほど刺激を受ける店とは?
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1.『Arbre』のシェフ佐藤幹樹さんが高め合うのは…
『gnudi(ニューディー)』@外苑前
“路地裏にある6坪のイタリアン食堂で、気ままにナチュラルワインが楽しめます”
テラス席からスタンディングスペースまで、こぢんまりとした店内はいつも満杯。ナチュラルワインを片手に客たちが談笑する姿が洒脱なムードを放ち、表を歩く人たちを引きつける。
ここ『gnudi』に一目置くのが、『Arbre』の店主・佐藤幹樹さん。
「同年代がどんどん新しい酒場を打ち出し、流れを作っていく中で、店主の藤生拓実さんは間違いなく先頭を走る要の存在」と話す。
メニューに目を落とすと、冷菜、温菜、メインにパスタと十分すぎる品数とワインを呼ぶラインナップ。加えて、外苑前エリアにして良心的な値付けも嬉しい驚き。
「毎日でも来られるように価格は抑えて、ワイン1杯とひと皿でも、コースのようにも組み立てられるようメニューバリエは豊富に」と、ワンオペでそれを実現させている藤生さん。
“平打ちの自家製パスタが絶品。うちの店でも再現したい味です”
「ひとりだからこそ勉強しないと成長が止まる」と、手打ちパスタを作るなど手間ひまを惜しまず、料理への向上心も高い。
定番の「ジェノベーゼ」¥2,200。バジルの香りを引き立てたソースに軽い食感のタリアテッレがよく絡む。
季節限定の「きのこと黒にんにくのソース 自家製タリアテッレ」(¥2,100)は、黒にんにくを裏漉ししたバターソースに数種類のきのことコンフィした卵黄を混ぜていただく。
そんな姿が新時代のシェフたちを奮い立たせている。
刺激を受け合うふたりの関係値は…若くして独立した経験から通じ合う仲
奥渋谷にある小料理店『Arbre』の店主・佐藤さん。知人を通じて知り合った藤生さんは、ひとつ上で同年代。ふたりとも若くして独立しているという共通点から仲良くなったという。
ワンオペで営業する藤生さんを佐藤さんは、「『gnudi』の営業はかなり計算されていると思います」と称賛。
2.『テンキ』のシェフ亀谷 剛さんが尊敬するのは…
『髙崎のおかん』@池尻大橋
“温度にこだわった熱燗が、料理の滋味をより引き立てているんです”
店名の『髙崎のおかん』とはお母さんではなく“お燗”の意味。
「燗酒は温度の表現ができるお酒。温度によって旨みが変わり、温泉のようなリラックスを体感できる。茶の湯にも似た熱燗の世界観を表現したい」と店主の髙崎 丈さん。
2時間の燗酒ペアリングコース(22,000円)は道具の説明に始まり「タネが食材、シャリが燗酒」とペアリングを鮨に例えるなど、ウイットに富んだプロローグで幕開け。
酒は自然酒がメインで、米や野菜も自然農法のものを扱う。味の良さはもちろん、熱燗の楽しさを広めて業界を盛り上げ、生産者の作る農作物の価値を高めたいとの思いが込められている。
そんな髙崎さんを『テンキ』のシェフ亀谷 剛さんは、「第一次産業から食へ携わる人たちを大切にしていて、尊敬します」と話す。
イサキの串焼きは皮目に塩を振り、炭火で片面だけ火入れ。油と塩だけで炒めた「きうち農園」のキュウリと「りんもく舎」の菜の花は、野菜本来の強い滋味に驚く。
自社田の自然栽培米を使用した「久米桜 オオカミ」はビーカーで58℃にお燗。カラスミの旨みと酒の酸が互いを引き立て合う。
鮨屋の〆のたまごを茶碗蒸しに置き換えて提供。
貝の旨みが凝縮した「貝出汁と豆乳の茶碗蒸し」に合わせるのは、髙崎さんの出身地福島県にある「鈴木酒造店」の「黄金蜜酒 本みりん」。
錫のちろりで68℃にお燗し、みりんのピュアな甘みに丸みを纏った味わいが、茶碗蒸しに寄り添う。
旨みと甘みが秀逸なオオミゾ貝と山口の自然薯で“蕪蒸し”を再構築し、ルッコラとこごみのソースによる野菜の力強さと味わう逸品。
クラフトジンの雄「辰巳蒸留所」とコラボした「ぷくぷく醸造」のどぶろくを58℃にお燗。ふくよかで優しい米の風味が料理の個性をふわりと包み込む。
〆に登場するのは、自然栽培米「会津春泥」の亀の尾という珍しい品種のお米。
会津「やますけ農園」で採れた平飼い卵のTKGは塩で味わう。
空間設計や音楽まで美意識が行き届き、それが店主の自我ではなく食体験や作り手に着地している文脈設計力にも亀谷さんは感嘆。
五感を満たす唯一無二の燗酒ペアリングをぜひ。
刺激を受け合うふたりの関係値は…仕事も私生活も共鳴する親しい間柄
渋谷にある進化系天ぷらとナチュラルワインの店『テンキ』の店主・亀谷さん。三茶にあった髙崎さんの前身の店からの仲で一緒に旅をしたり、イベントを企画したりと公私で親交が深い。
「食材、熱燗に対しての熱量、髙崎さんの人柄や食材との向き合い方など、さまざまな刺激を受けています」
3.『CENSU TOKYO』のシェフ金須郁幸さんが感化されるのは…
『awashima102』@三軒茶屋
“にぎやかさを抜けた淡島通りで、音楽とワインに浸るのが気持ち良いんです”
センスのいい音楽と客たちの程良い賑やかさが混ざり、心地良いグルーヴが夜な夜な生まれる『awashima102』。
ドリンクメニューはナチュラルワインとビールのみ、正真正銘“飲める人のため”の店である。
“仕入れる食材によって都度変わるメニューの創作性が高い”
料理はワインに合うことが前提で、食材は高知の船上締めした魚や小田原の野菜を仕入れる。
壁の黒板にはパスタに、春巻き、フムス、アチャール……とジャンルレスなメニューが並び、合わせるワインを想像しながら心がワクワクする。
「高知産のメジナ蒸しと新生姜のリゾット」¥2,000。
ジャスミンライス、のらぼう菜に生ハムの旨みを抽出した泡を載せたワインのアテとしてベストなリゾット。パプリカの豆醤ソースで味変するのも楽しい。
名物の「仔牛タンの煮込み」(¥3,400)は、あっさり柔らかな仔牛のタン元をじっくりと煮込み、グリーンカレーのソースと一緒に味わう新感覚のひと皿。
添えられたたまごのアチャールもいいアクセントに。
「音楽と美味しいワイン、季節を感じる料理の数々に毎回刺激を受けています」と『CENSU TOKYO』の金須郁幸シェフ。
店主の辻井圭悟さんはイタリア料理店など都内レストランを転々としたのち、1年間ヨーロッパやアジアを巡る旅へ。その体験が型にはまらない感性を育む基盤になっている。
同業のシェフが遊びに来たり、食と音楽のイベントを主催したりと、辻井さんの自由闊達なセンスとフランクな人柄がジャンルも業種も超えて人を魅了している。
刺激を受け合うふたりの関係値は…カルチャー好きの同い年でご近所同士
外苑前にある香港の予約困難レストラン『CENSU』の2号店シェフ・金須さん。フレンチをベースに和洋中の技法を取り入れた新感覚の料理を提供。辻井さんとは同い年で家が近所、食とカルチャー好きで意気投合した。
「同世代で店主同士なので意識してます。辻井さんはイケメンなのも魅力(笑)」
4.『The SG Tavern』のバーテンダー永峯侑弥さんが触発されるのは…
『EUREKA!(ユリーカ)』@西麻布
“日本酒ペアリングを確立した千葉さんの店は、いい意味で西麻布っぽくなく洒脱”
独創的な日本酒ペアリングで人気を博した『GEM by moto』。同店の店主だった千葉麻里絵さんが独立し、西麻布で再始動したのが『EUREKA!』だ。
千葉さんといえば、日本酒を化学的見地から研究する“日本酒のカリスマ”として知られる存在。
飲食関係者からの支持も厚く、「日本酒ペアリングという専門分野に特化するプロ意識に刺激を受けています」と話す『The SG Tavern』のバーテンダー永峯侑弥さんも、そのひとりだ。
日本酒は「ひとつの蔵の魅力を狭く深く掘り下げたい」と、付き合いの長い新政や仙禽などの銘酒蔵元とコラボした日本酒が15〜20種。
「おまかせもお好みもその人に合わせて種類や量を調整。ペアリングを楽しんでほしい」と千葉さん。
“料理も本当に美味しい。お気に入りは「キラス」です”
「ブルーチーズのハムカツ」をはじめ、和洋エスニックとボーダーレスな料理と酒の化学反応で起こる口内調味の妙は、永峯さんのカクテル作りにも相通じる。
GEM時代からの名物「ブルーチーズのハムカツ」(¥950)は必食。
「nondo どぶろく速醸生」(¥1,600)を合わせると酒がソースとして機能。試してほしいペアリングのひとつだ。
酒のプロ同士の高め合う関係が、未知なる酒の可能性を切り開いてくれる。
刺激を受け合うふたりの関係値は…酒と向き合うプロ同士認め合う存在
後閑信吾氏が率いる「SG Group」のビバレッジディレクターとして活躍する永峯さん。海外でゲストバーテンダーとしても腕を振るい、焼酎や日本酒を使ったSGオリジナルカクテルは評価が高い。
「互いに酒に関わるプロとして親交が深く、永峯さんは「『EUREKA!』は最高の日本酒ペアリングが楽しめる場所」と絶賛。
5.『LOBBY』のバーテンダー稲本有美さんが刺激を受けるのは…
『Chillmatic - Hamburger&Bistro』@奥渋谷
“都内で食べられるハンバーガーで一番美味しいと自信を持って言えます”
Chillとillmaticを掛け合わせた造語『Chillmatic - Hamburger&Bistro』は、“最高美味”を意味。
店名よろしく「都内で一番美味しいバーガー!」と絶賛するのが、『LOBBY』のバーテンダー稲本有美さんだ。
“アボカドがたっぷり入っていて、豪快な見た目がたまらない”
「他店のグルメバーガーを食べてもここを超えることがない唯一無二の美味しさ。夕方頃に行き、早めの夕飯がてらお酒と合わせてハンバーガーを食べるのが至福の時間です」と語る。
店主の塩田大治さんは、浅草でフレンチのシェフを10年経験し、その後芝浦の『THE GOOD VIBES』で活躍。そこで培ったパストラミサンドと熟成肉バーガーの技術をベースに、独立後アップデート。
ビーフパティは、90日間熟成させたあがの姫牛の経産牛を使用。ケチャップやマスタードも自家製で、肉々しいパティとバンズ、具材の計算された一体感に思わず唸る。
ウフマヨやマッシュルームのカルパッチョなど、ビストロテイストの一品料理もこだわり尽くし。
美味しさに裏打ちされたひと手間や店主のセンスが料理と空間に反映されている。
刺激を受け合うふたりの関係値は…飲み友達で互いを高め合える存在
感度の高い客で賑わう池尻大橋のバー『LOBBY』のバーテンダー・稲本さん。
「塩田さんとは元々飲み友達で、互いの店の認知を高めるために『LOBBY』でコラボイベントを開催したことも。一見こわもてですが、誰に対しても気さくで、愛犬を連れて行くと可愛がってくれる優しい人柄も魅力です」
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