この季節が来るたびに思い出す、あの人のこと。切ない思い。苦しくて泣いた夜…。
うだるような暑い夏が今年もやってきた。
これは、東京のどこかで繰り広げられる夏の恋のストーリー。
▶前回:「こんなもの…?」ずっと好きだった彼と結ばれた直後、26歳女がショックを受けたワケ
恵比寿の夏/奈緒(29)
「な〜おっ!お疲れさま。あのさ、来週の金曜日…まだお盆期間中なんだけど、夜って空いてる?」
恵比寿にある、人材派遣会社。
定時10分前の女性用化粧室で話しかけてきたのは、同期で唯一同じ総務部に配属された真鍋 愛だ。
小柄で人懐っこく、社内では“総務部の妹”と呼ばれているが、私は知っている。会社を出ると彼女のキャラが一変することを。
「何時から?」
リップを塗りながら私が聞くと、愛は首を傾げた。
「食事会でしょ。どこで何時?」
「奈緒さっすがぁ!言う前にわかるなんて、話が早いわ。恵比寿で20時からなの。来れる?」
愛は目をキラキラさせながら、鏡越しに私に聞いた。
この記事へのコメント
そんな女が美容外科医との初デートで終電を逃しましたとさ。それだけ? 夏休みの絵日記レベル。
一日の最後、働いてないじゃん。