SPECIAL TALK Vol.115

~この楽器だからこそできる表現を。歴史ある箏を武器に世界を目指す~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。1989年起業、代表取締役就任。


逆輸入を目指し、海外に打って出たい


金丸:LEOさんは箏曲家として、箏の可能性を広げる活動をされています。今後の個人としての目標を教えていただけますか?

LEO:日本国内だけでも、もっと箏を聴いてくださる方を増やす余地はたくさんあると思います。これまでの共演でクラシックファンの方たちに認知してもらったように、今後も別のジャンルを入り口にして箏のファンを増やしていきたいですね。とはいえ、限界もあるだろうなと。

金丸:そもそも日本には1億2,000万人しかいないし、これから先、人口は減っていきますし。

LEO:なので、いまは「逆輸入」することを考えています。海外で売れることが、日本で知ってもらう1番の近道じゃないかって。

金丸:そうかもしれません。日本人って「他人がなんと言おうと、私はこれが好き!」と言える人はまれで、他人の意見を横目で確認しながら評価することが多いじゃないですか。

LEO:津軽三味線の吉田兄弟もそうだったし、ギタリストのMIYAVIさんも先に海外で受け入れられて、それが話題になり、日本でもメジャーに、という流れですよね。

金丸:LEOさん自身は、これまで海外公演の経験はあるんですか?

LEO:コロナ禍の影響もあって、演奏に行く機会はあまりありませんでした。それでも昨年はベトナムのハノイで演奏しました。向こうの伝統楽器のオーケストラの方々と共演するというテレビの企画で。

金丸:共演していかがでしたか?

LEO:「すごく共感できる」と感じましたね。箏もシルクロードを通って日本に伝わってきた楽器なので、西洋のオーケストラ以上に身近に感じる楽器同士でのアンサンブルになりました。

金丸:アジアだけでなく、箏は欧米でもいけそうですよね。たとえば、フランスは日本文化が好きな人がとても多いし。

LEO:自分の中では、ジャズっぽいことをやるのが、いま1番しっくり来ています。ヨーロッパにももちろん行きたいですが、目指すならニューヨークかなと。

金丸:文化のるつぼ、エンターテインメントの最高峰ですね。

LEO:僕がYouTubeを始めたのはコロナ禍を受けてのことでしたが、自分が思っていた以上の割合で、外国の方に視聴いただいています。箏という楽器に興味を持ち、新鮮な目で見てもらえているんだなと考えると、海外での活動にすごく可能性を感じています。

金丸:ニューヨークで演奏されているLEOさん。とても見てみたいですね(笑)。

LEO:ありがとうございます。語れるほど経験はありませんが、海外の方の方が、演奏に対する反応が素直に返ってくる。そういう環境で、もっと経験を積みたいですね。

金丸:こうしてお話ししていると、ビジネスもスポーツも音楽も、やっぱり共通する部分がありますね。あらゆる業界にはピラミッドがありますが、LEOさんは箏曲家という業界の中で、ピラミッドの頂点を目指しているわけですよね。

LEO:そうですね。音楽家という広い意味では上を目指しています。

金丸:そう。どんな分野でも、やるからにはやっぱりピラミッドの頂点を目指したい。だけど、ピラミッドはひとつの業界にひとつだけあるわけじゃない。サッカーも野球もさまざまなポジションがあって、それぞれにピラミッドがあり、それぞれの頂点がある。

LEO:そう考えると、いま僕は、自分で新しい曲を作って自分で演奏している時が、1番楽しいですね。

金丸:それって素晴らしいことじゃないですか。上に行くためにライバルを蹴落とすのではなく、自分で新しい道を見つけて、それを究めようとしている。つまりは、新しいピラミッドを作っているんです。ビジネスもそうですが、「稼ぎたい」とか「あいつより上に行きたい」と思っていると、出てくるアイデアがどうしてもよれてしまう。でも自分のミッションを見つけたら、コンセプトがぶれることがなくなり、目指すべきものがクリアになって突き進んでいけます。

LEO:金丸さんにそうおっしゃっていただけると、勇気が出ます。

金丸:自分で新しい道を切り拓きながら、自分が好きなこと、やりたいことに挑戦する。そんなLEOさんの姿を見れば、さらに若い世代が勇気づけられるはずです。これからのご活躍を楽しみにしています。今日は本当にありがとうございました。

【SPECIAL TALK】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo