SPECIAL TALK Vol.115

~この楽器だからこそできる表現を。歴史ある箏を武器に世界を目指す~


落ち込んだ業界だからこそ自由な活動ができる


金丸:いままでで最大にお客様が入った舞台って、どのくらいでしたか?

LEO:1番大きかったのは、「サマーソニック」というロックフェスです。その時で数千人規模でしょうか。

金丸:ロックフェスとなれば、邦楽のコンサートとは完全に客層が別ですね。

LEO:昨年と今年は「サマーソニック」だけでなく、『ブルーノート東京』でもライブをしました。

金丸:ジャズクラブの名門ですね。LEOさんのYouTubeに動画が上がっていますが、ライブ映像を見る限り、箏はどちらかというとリードギターに近いように感じました。和音も弾けるんですよね。

LEO:メロディーを担当することが多いですが、コードを弾くこともありますよ。箏の見た目からハープを連想する方が多いかもしれませんが、1番近い西洋楽器は、ギターだと思います。制約の多さの面でも近くて、ギターにできることは箏でも大体できるかなと。ギターのチョーキングのように弦を押して音程を動かすこともできるし。

金丸:では、前に出ることもあれば、後ろに下がって全体を支えることもできる。ちなみに、歌いながら演奏はしないんですか?

LEO:箏はもともと弾き歌いの楽器なんです。だから古典は全部弾き歌いの曲ですね。

金丸:そうだったんですね。まだまだ知らないことばかりです。LEOさんも歌ったりされるんですか?

LEO:実は勉強していて、たまに自分のコンサートで歌うこともあります。ジャンルとしては地唄(じうた)というんですけど、民謡をより遅く再生したみたいな感じの歌で。

金丸:ちょっと、とっつきづらそうですね(笑)。

LEO:いまの感覚だとなかなか理解されにくい歌なので、それをどうやって現代に合わせていくかというのが課題です。

金丸:ただ、お話を伺っていると、箏って可能性だらけじゃないですか。先ほどの「落ち込む」の話じゃないけど、業界としてはもう底を打った状態だと言えますよね。

LEO:そうですね。あとは上を目指すだけだと思っています。そのぶん、自由にできる。

金丸:だから、マイナーであること自体は悪いことじゃないと思います。ところで、LEOさんはご自身で作曲されるんですか?

LEO:はい。始めたのは高校の頃からですが、やってみると心境に変化がありました。それまではレパートリーの少なさや箏人口の少なさをデメリットに感じていたんです。でも、自分で創作するようになって、僕がなぜ他でもなく箏で演奏するのか、という意味を伝えやすいなって。

金丸:箏だからこそできる表現や作れる曲があるでしょうから。

LEO:そうですね。YouTubeにもポップスやメジャーな曲を箏で演奏している動画が結構あって。

金丸:ディズニーやジブリ、アニメなどの曲ですよね。

LEO:もちろん、箏特有の音色で演奏することに意味はあると思うんですが、箏でなければいけないかというと。

金丸:もともと、箏のために作曲されたわけではないし。

LEO:だから箏の音階の中でも鳴りのいいところを使ったり、余韻を使ってどんな表現ができるかを追求したり、というのは意識しますね。

金丸:文化的な背景も含めて、「この楽器だからこそできる」という部分をもっと多くの人が知れば、演奏家もファンの数も増えていくんじゃないかと思います。

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