2011.08.22
牛肉進化論。炭火ステーキから肉割烹まで Vol.2FOOD&DRINK FEBO
海外で育んだ発想力と"肉バル"仕込みの技で勝負
森下駅から歩いて1分以内というアクセス良好な場所ながら、この店が建つのは時代を巻き戻したようなのんびりとした路地。向かいは昔ながらの氷屋さんで、夕刻ならまだかき氷を求める子供の姿が見られる。控えめな佇まいのエントランスは、周囲の景色に違和感なく溶け込んでいるが、中へ入ると一転、大音量のBGMに負けじと声を張り、賑やかに肉料理を食す人たちの熱気が伝わってくる。
その熱源がカウンター左端で肉を焼き続ける竹内保雄シェフだ。都内のフランス料理店で修業を始めた竹内シェフだが世界を見ようと渡ったオランダの水が合い、和食、イタリアン、スパニッシュなどの店で働きながら6年、さらに勤め先の求めで米フロリダ州マイアミに渡り、計7年を異国で過ごした。ジャンルの枠に囚われない自由な料理観はここで構築されたが、さらに帰国後、吉祥寺『バル・ボッカ』の立ち上げに関わった経験が、竹内シェフの料理に「肉」という太い柱を与えることに。同店の母体は肉の卸業者。厨房を任され、牛、豚、鶏と毎日大量の肉を扱ううちに、肉の面白さにハマっていったという。
だから満を持して開いたこちらの店も当然、肉料理が看板。とりわけグリル料理は必食だ。牛ハラミも牛フィレも豚の粗挽きソーセージから仔羊のスペアリブまでグリル、またグリル!その理由を尋ねると「焦げ目の溝に肉から出たジュが溜まり、肉の旨みが凝縮した線が網状に表面を覆う。だからグリルは旨い!」と、竹内シェフ。豪快な盛り付けで「楽しく食べて」と供するが、芯温を測りながらじっくりと火入れした牛フィレなんて、思わず目を閉じ、意識を集中して味わいたくなるほど。
ショップカードなどのロゴマークを見ると、店名の前には『FOOD&DRINK』とある。ビストロでもなくバールでもなく『FOOD&DRINK』。ルールも制約もなし、という心意気の表れだ。ここではただ、極上の肉料理と酒を美味しく、ひたすら味わうのみである。
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