2023.04.21
SPECIAL TALK Vol.103
多くの生徒が留年する中、ストレートで大学進学
サコ:日本に来て特殊だなと感じたのが、関西でいう「おない」という感覚ですね。マリだと「同級生=同い年」ではありませんから。
金丸:小学校から留年もありえますからね。
サコ:あと、小学校を卒業するときには、国家統一の試験があります。いくら学校の成績がよくても、その試験に落ちたら留年確定。中学校も同様です。高校3年生にもなると、5歳差の人と一緒に勉強するのが当たり前でした。
金丸:そんなに年齢差が。でも年齢の違う人がいる方が、多様性もあって、環境としても面白そうですね。
サコ:最近はマリでも塾が盛んですが、私の学生時代にはあまりなくて、高校時代は友だちと過去問を出し合って勉強していましたね。
金丸:競争が激しい中で、友だちと一緒に勉強しながら成長する。昔から仲間を作って突破するタイプだったんですね。
サコ:留学生を支援するグループを作ったり、私の家を拠点に毎週パーティーをしたり、お互いに支え合う拠点作りは日本に来てからも続けています。
金丸:サコさんは留年しなかったんですか?
サコ:しませんでしたよ。でも、そういうストレートで進学する人は、全体の20%もいないんじゃないですかね。
金丸:じゃあ、本当に優秀だったんですね。高校卒業後は中国に留学されたそうですが、それはどのような経緯で?
サコ:私が選んだわけじゃなくて、国から中国の大学に行きなさいと。そもそも私は、中国を知らなかったし。
金丸:えっ、行きたい大学を本人が選べないんですか?
サコ:全て国が決めます。マリでは成績がいい学生には国から奨学金が支給されて、海外の大学に留学させてもらえるんです。そして、これもマリの特殊なところなんですが、高校卒業の発表がラジオで放送されます。
金丸:えっ、ラジオで!?
サコ:当時はまだインフラが整っていなかったので、田舎に手紙を送ってもいつ届くか分からない。だけどラジオなら、みんな聴けます。どこの誰が高校を卒業できたか、誰がどこの大学に進学するかを全国民知ることができるんです。
金丸:合否結果を全国民に知られるなんて、複雑ですね。
サコ:そうなんですよ。「どこそこの国に行くことが決まったので、早く手続きしに来なさい」とかも。
金丸:なかなか想像がつかない世界です。
サコ:この放送は確実に伝わるという意味ではいい方法ですが、弊害は“伝わり過ぎる”ことで。私は都市部で生まれたけど、両親には田舎があって親戚もいる。私が進学することを放送で聞いた親戚が、「ウスビを見送りに来た」とどんどん家に集まってきて。
金丸:親戚関係も濃いんですね。
サコ:しかも、見送りといっても、出発の日に来るわけじゃありません。出発の1ヶ月前に来て、その後ずっと家にいる。
金丸:ちょっと待って(笑)。そのまま住み着くんですか?
サコ:20人とか30人が、ずっといるんです。もう邪魔ですよ、普通に(笑)。当然、宿泊費も食費も出しません。そのかわり、外国に旅立つ私にお金を渡してくれたり、「中国で役に立つでしょう」って品物を渡してきたり。
金丸:温かいじゃないですか。1ヶ月もいるのは迷惑だけど(笑)。
サコ:そうやって送り出してもらったのが40年近く前の話ですが、いまだにマリに帰ると、その親戚たちからお返しを求められるんです(笑)。だけど、いちいち誰にお土産を買っていけばいいかなんて覚えきれません。「何もないの?じゃあ、その時計ちょうだい」って言われたら、本当にあげなきゃいけない。だからマリに帰るときは、誰かにあげてもいい時計を着けるようにしています(笑)。
【SPECIAL TALK】の記事一覧
2025.03.21
Vol.126
~「できない」「分からない」の楽しさを伝えたい。万博プロデューサーとして想いを「クラゲ」に込める~
2025.02.21
Vol.125
~卒業して気付いた「まだまだ何でもできる」。元アイドルの肩書に縛られず、自由に挑戦を続けたい~
2025.01.21
Vol.124
~丹後を日本のサン・セバスティアンに。地方の「お酢屋」がまちづくりを考える~
2024.12.20
Vol.123
~モデルから放送作家へ。異色の経歴は恐れずに踏み出した証拠~
2024.11.21
Vol.122
~自分の体を認めることが、自分を好きになるための第一歩になる。~
2024.10.21
Vol.121
~スポーツの喜びをより多くの人が体験できるよう、これからも挑戦はやめない。~
2024.09.21
Vol.120
~日本の農業が続くための仕組みを作り、アップデートできるよう挑み続ける~
2024.08.21
Vol.119
~すべてを制覇したい気持ちは変わらない。経営陣になっても燃えたぎる闘志がある~
2024.07.20
Vol.118
~歌舞伎役者を夢見た少女だから、歌舞伎役者の母としてできることがある~
2024.06.21
Vol.117
~1杯で幸せになる利他的なコーヒーを目指して~
おすすめ記事
2023.03.20
SPECIAL TALK Vol.102
~世界最高峰をこの目で見た経験を生かし、人が集まるいい環境を作りたい~
- PR
2025.03.31
結婚1年目から、激務のせいでギスギス…。崩壊寸前のパワーカップルを救ったアイテムとは?
2016.03.12
貴方がAirbnbの社長だったら?大前研一の授業が追体験できる人気本がきた!
2016.03.03
初春の接待を制する、大人な空間で人気の名店6選
- PR
2025.03.31
えっ、あの“ミャクミャク”の部屋に泊まれる!?どっぷり万博に浸れる、いまだけのホテルステイとは…
2024.02.29
プロ★幹事
「コスパが良くて、特別感があって絶品!」歓送迎会の参加者全員が喜ぶ、銀座・丸の内の店3選
- PR
2025.02.12
【豪華プレゼントが当たる】「所有欲が掻き立てられます…」人気セレブ夫婦が魅了された“マセラティ”の車とは
2016.10.17
彼が言うなら間違いない!松岡修造が伝授する“デキる人”になるための10ケ条
- PR
2025.03.27
7種類ものフレーバーが楽しめる! この春、台湾生まれのフルーツビールが話題!
- PR
2025.03.28
ほろ酔い美女の正体とは!?17LIVEの人気ライバー4人を、港区のバーにお連れしてみたら…
東京カレンダーショッピング
ロングヒット記事
2025.03.19
運命なんて、今さら
初めて彼のマンションを訪れた28歳女。しかし、滞在10分で、突然「帰りたい」と思った理由
2025.03.22
男と女の答えあわせ【Q】
「豊洲に住んでいる」と33歳男が言った途端に、デート相手の女が戸惑ったワケ
2025.03.23
男と女の答えあわせ【A】
「年収800万くらいでもいいかな…」相手に求める条件を妥協したつもりの30歳女の大誤算
2025.03.17
1LDKの彼方
「何もないって言われたけど…」彼氏が他の女と連絡を取っていたことが発覚。30歳女は思わず…
2025.03.20
TOUGH COOKIES
「幸せそうな彼女がなぜ?」SNSで悪質コメントの犯人を突き止めたら、意外な人で…