バッド・ダディ Vol.12

独身を楽しんでいたバツイチ男は、父親になれたのか?「バッド・ダディ」全話総集編

バツイチ男性はモテる。

結婚生活を経験しているから女性の扱いを熟知していて、余裕があるのだ。

離婚歴がある男性に、魅力を感じる女性は少なくないだろう。それゆえ第二の“独身貴族”を楽しんでいる男性が、東京には少なくない。

渋谷区松濤に住む滝口(38)もそのうちの1人。

しかし自由気ままなバツイチ独身男性生活から、”ある女”の登場で生活が一変……。

これは東京に住む男が、男としての「第二の人生」を見つめ直す奮闘記である―。

「バッド・ダディ」一挙に全話おさらい!

第1話:浮気がバレて離婚した男。6年ぶりに元妻から電話があったので出てみたら…

「久しぶりだね。元気にしてるの?君も、エレンも」

かつては、お互い負の感情を抱きながら離婚をした。だが、時を経て自分の口からこうした言葉が出てきたことに、滝口自身が驚いていた。

「元気よ。ところでお願いがあって電話したの」

エリの「お願いがあって」の部分だけ耳に残り、滝口は少し身構える。

― お願い?金か?まさかヨリを戻したいなんてことはないだろうけど…。

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第2話:「なぜ妻以外の女性を、好きになったの?」25歳の若い恋人がいる男は、その質問に…

ここ1週間、滝口の頭の中は、雛子と今後どうやって関係を続けていくべきかということに終始している。

― 雛子には正直に、娘を引き取ることになったと話すしかないよなぁ。

雛子とは友人宅でのホームパーティーで知り合い、彼女からのプッシュで付き合い始めてもうすぐ1年。13歳年下という年齢差に戸惑うことはあったが、今では週末を一緒に過ごすのが当たり前のようになっている。

だが、娘のエレンを引き取れば、今までのような付き合い方はできない。滝口のお気に入りの週末の過ごし方が、一変することになると憂鬱だった。

第2話の続きはこちら

第3話:年上男性との恋に溺れた25歳女子。だがある夜、彼の“お父さん的言動”が気になり始め…

― やっぱ、エリに心配させないように、ふるまってたんだな。

滝口は、娘との距離感に悩むことになるとは、思ってもみなかった。考え込んでいると、エレンがじろりと睨んでくる。

「クラスのお友達、みんな塾行ってるんだよ?行ってないのはエレンだけ。塾は入らないと私立の中学校入れないじゃん」

エレンには悪いとは思っている。だが、生活を整えることで手いっぱいの滝口は、エレンに頼まれた塾の問い合わせすらできていなかった。

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第4話:「彼氏いるの?」食事会での質問。男をその気にさせた、25歳女の絶妙な回答とは

― 私より年上だよね?2人とも素敵なんですけど…。

和香によると、2人とも3つ年上の28歳で、大手代理店勤務。和香の向かいに座っている彼は、彼女が狙っていると聞いていたから“ナシ”だ。

だとしても、雛子の向かいに座っている彼、遠藤の外見、服装や、その声から醸す雰囲気は嫌いじゃない。

飲みながら話しているうちに打ち解け、それぞれの過去の恋バナで盛り上がり始めた。

「じゃあ、雛子ちゃん、今は付き合っている彼いないの?」

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第5話:「贅沢はさせてくれるけど“ココ”が無理…」25歳女がリッチな年上男を切ったワケ

雛子が乗ったタクシーを見送ると、滝口は深いため息をついた。この日、彼女と2週間ぶりに会っていたのだが…。

『フロリレージュ』で、鮮やかで美しい料理とワインのペアリングを堪能した。塾から帰ってくる娘の手前、多少控えめに。そこまでは良かった。

だが、デザートとエスプレッソが運ばれてきた時、雛子が申し訳なさそうに切り出したのだ。

「トオルさん、私たち、サヨナラしたほうがいいと思うの」

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第6話:「どちらの大学ご出身?」ママ友からの質問。笑顔の裏に隠された恐ろしい意図とは

校門をくぐりアプローチを抜ける途中の築山には青々と緑が茂り、重厚なレンガの校舎との調和が美しい。

立教大学への内部推薦があるので、人気の中学校なのだと沙織が説明してくれた。

「うちの娘は、ここか立教女学院がいいみたい。私が立教出身なので」

そして、沙織は当然の流れ、といったふうに滝口に尋ねた。

「ちなみに滝口さんは、どこのご出身なんですか?」

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第7話:「コーヒーでも飲んでく?」付き合っていない女を家に呼ぶ男の本音とは

滝口は通りで手を上げ、目の前に止まったタクシーに乗り込んだ。自宅の場所を伝えると、シートに身を預ける。

タクシーは5分ほどで、松濤にある自宅マンションに着いた。エントランスの扉が開いた瞬間、ちょうどコンシェルジュと目が合う。

「おかえりなさいませ、ちょうどよかったです。今、お客様がお届け物を…」

コンシェルジュの視線の先を見ると、ホールのソファで、なにやらメモを書いている沙織が見えた。

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第8話:ワンオペ育児に疲れ果てている妻の体に手を伸ばす夫。嫌気がさした女は…

「算数の宿題が結構難しいから、明日ミカ子さんに聞いてもいい?」
「ああ、いいよ。ミカ子さんならきっとわかるね」

先日、「頭の良くなるチーズケーキ」を持参したミカ子は、エレンのノートに“分度器を用いずケーキを3等分する方法”を丁寧に解説した。

そして、ミカ子の強烈なキャラも手伝って、あっという間にエレンを手懐けてしまったのだ。

彼女が帰った後、エレンと2人「ミカ子って何者?」という話で大盛り上がりしたのは、言うまでもない。

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第9話:夫の浮気の原因は、すべてを“実家”に頼る妻にあり。親友のような母娘関係が危険すぎるワケ

滝口としては、来年元妻が帰国した時のために、以前住んでいた鎌倉からも東京からも通学しやすい横浜や川崎にあって、今のエレンの実力でも望みがある学校に行かせたいと考えていた。

だが、娘は先日見学に行った香蘭女学校が気に入っているようだ。

「行きたくもない学校のために頑張るなんて無理よ」

学力が足りないのなら、その開きを埋めるか、学力にあった魅力的な学校を見つけるかの2択だとミカ子は意見する。

「秋になったら過去問に取りかかったほうがいいから、志望校は、夏の間に決めたほうがいいわね」

第9話の続きはこちら

第10話:離婚した元妻から突然連絡。家を出た本当の理由を告げられて。困惑した男は思わず…

元妻のエリから久しぶりに電話がきたと思ったら、突然病気であることを告げられた滝口は、驚きを隠せない。

「手術が必要とかそういうものじゃないの。自分を弱い人間と認めるようで言いたくないんだけど…」

電話越しのエリの声が先細っていく。

「じゃあ、聞かないよ。病気は誰にとってもセンシティブな問題だ」

滝口は、むやみに踏み込んではいけないような空気を感じて、それ以上詮索するのは止めた。しかし、短い沈黙の後、エリが口を開いた。

第10話の続きはこちら

第11話:中学受験直前、志望校が全てE判定。泣き崩れる子にかけた親の卑劣な言葉とは

元妻エリが当分帰国しないことがわかって迎えた、今年の夏。一波乱あるかと思ったが、エレンは、淡々と受験勉強をこなしていた。

ミカ子が気を利かせて、時々勉強を見てくれたし、エレンは、1週間ほど塾の合宿に参加した時期もあった。だから、滝口は普段と変わらず仕事に集中できた。

だが、女性とデートを楽しむ以前のような滝口ではない。

― 1年限定の子育てじゃないから、腹括ってちゃんとやらないとな…。

第11話の続きはこちら

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