麗しの35歳 Vol.2

「女は20代に限る」と豪語していた、年下男の心を鷲掴みにした35歳の女

女性の結婚率は、35歳を境に急激に下降する。

東京で、まことしやかにささやかれる言葉だ。

他にも、身体の変化、実家の問題、将来への不安と、目を背けたいことが増えてくる年齢でもある。

だがしかし。そんな悲観を抱くことは一切なく、麗しき独身人生を謳歌する女がいた。

恭子、35歳。

彼女が歩けば、男たちは羨望の眼差しで振り返り、女たちは嫉妬する。

恭子は一体、何を考えているのか?

前回は、新卒時代の同期・なつみが既婚者の目線から恭子を語った。

今日は外資系ラグジュアリーブランドで働く恭子の部下・周平が、彼女について語る。


僕は、『トゥールームス グリル バー』で恭子さんとばったり会った夜のことをぼんやり思い返していた。

「周平、お前、女の子は20代に限るってあれほど言ってたのに一体どうしちゃったんだよ」

一緒に飲みに来ていた友人に後からそう茶化されたとき、僕は返す言葉が見つからなかった。

黙っている僕を友人は軽く小突いて、小声で言った。

「確かにすごいイイ女だったけど…でもあの人、どう見ても30は過ぎてるんじゃないか?」

確かに彼の言う通りだ。僕はそもそも、自分より歳下の女の子にしか興味がない。

それに今年で29になる僕にとっては、近頃は同じ年代の女たちですら、少し面倒な気がしていた。彼女たちは狂ったように婚活に精をだし、二言目には「結婚」と騒ぎ立てるからだ。

僕にだって結婚願望がないわけじゃないけれど、相手にせかされるのはまっぴらごめんだ。若い女の子たちは気軽な恋愛を楽しむのにちょうどいい。

だからましてや、35歳で、しかも自分の上司という立場である恭子さんのことなんて、気にも留めていない…はずだった。

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