渋谷物語 Vol.5

誘いを断りきれず、大人の色香漂う街に連れて行かれたけど…。そんな男に、女が心を許したワケ

文化・流行の発信基地であり、日々刻々と変化し続ける渋谷。

渋谷系の隆盛から、ITバブル。さらに再開発を経て現在の姿へ…。

「時代を映す鏡」とも呼ばれるスクランブル交差点には、今日も多くの男女が行き交っている。

これは、変貌し続ける街で生きる“変わらない男と女”の物語だ。

◆これまでのあらすじ

渋谷で出会い、その後交際し始めた梨奈と恭一。広告代理店にカメラマンとして就職した恭一に対し、梨奈は就職難でフリーターに。すれ違いが続いた二人は、梨奈の就職を機に関係に終止符を打つ。

それから、3年の月日が流れ…?

▶前回:彼氏に内緒で、夜な夜な男のもとに通う女。その場で“とある強引な誘い”を受けて…?


2009年6月


「一番幸せにしてくれるのは、やっぱり普通の男よ」

色とりどりの花に囲まれた高砂の中心で、むつみは満足げな表情をしながら、私たちにこっそり言った。

東京湾が一望できるという幕張のホテルで行われた、90人ほどの結婚式。彼女のお相手は、千葉の信金に勤める野球観戦が趣味の男性だという。

「ヤなカンジ。優越感たっぷりに言っちゃって」

帰りの京葉線の中。ともに参列していた青学時代の同級生のひとりが不機嫌そうにつぶやいた。周囲は同調し、にわかに彼女への悪口で盛り上がる。

しかし、私はそうは思えなかった。むつみの言葉は、妥協した自分に対して言いきかせているように聞こえたからだ。

大学時代の行きつけの居酒屋で飲みなおそうと誰かが言い出し、電車を乗り継ぎ、みんなと渋谷で降りた。

「…じゃあ、私はここで」

「えー、来るんじゃなかったの?」

一緒に降りた私は、てっきり面子に入っていると思われていたらしい。

「私、渋谷に住んでいるから。帰って仕事しないと」

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