2021.01.03
急募:僕の嫁 Vol.15運命の相手と出会いたい。誰もが思っていることではないだろうか。
では、運命の相手はどこにいるのだろう。
「“ビビビ”ときた」
「会った瞬間に、この人と結婚すると思った」
そんなのを聞けば聞くほど、目の前の相手は違うと思ってしまう。
まだ出会っていないだけ、どこかにいるのだ。そう思い続けてきた、曽根進太郎、29歳。恋愛経験ゼロ。
彼の人生をかけた、“運命の相手”探しが今、始まる。
2021年も頑張りましょう。昨年2020年のヒット小説総集編、「急募:僕の嫁」一挙に全話おさらい!
第1話:運命の人を探し29年。恋愛経験不足のイケメンが結婚を焦る理由
「そういえばさ、俺の知ってる限り、お前って彼女いたことないよな?本当だとしたら、けっこうやばくない?
俺なんか、毎晩違う女と遊びたいと思ってきたけど、最近、ちょっと結婚願望湧いてきたりして」
「うるせーな」
進太郎は、酔っ払いを適当にあしらいながらも、内心ギクッとしていた。母親からも結婚について強烈な提案をされたばかりだったからだ。
曽根進太郎、29歳。恋愛経験はゼロに近い。超ド級の、夢見る夢男なのだ。
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第2話:「この男、不思議ちゃん…?」敏腕結婚カウンセラーが見抜いた、男の深層心理
「お待たせいたしました。お部屋にご案内します」
受付を済ませた進太郎がソファで待っていると、スーツ姿の女性がやって来た。「こちらへ」と促された進太郎は、パキパキと歩く彼女の後に付いて行く。
年齢は30代後半だろうか。目鼻立ちのはっきりした綺麗な女性だった。
−こんな綺麗な人もいるもんだなあ。
結婚相談所のカウンセラーというと、何となく“お節介な年配女性”をイメージしていたから、進太郎にとっては嬉しい誤算だった。
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第3話:「この女性とはちょっと…」出会って数分で男を幻滅させてしまったワケ
−そろそろ来ると思うんだけどなあ。
そうこうしているうちに、目が痛くなってきた。瞬きするのも忘れて見つめていたら、どうやら目が乾いたらしい。
進太郎は、目を休めるため、慌てて窓の外に目を向ける。今日は天気が良い。窓の外には、青空が広がっていて、雲がゆっくり動いている。ぼんやりと雲の動きを眺めていると、突然声をかけられた。
「あのー、シンタロウさん?」
慌てて彼女の方に顔を向けた進太郎は、次の瞬間固まってしまった。
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第4話:「モテる男は、聞き役に回る」恋愛ハウツー本を実践する男。その結果はいかに…?
昔何かで、「モテる男は聞き役に回る。しゃべらない」という記事を読んだこともあるし、自分からガツガツいかなかったことも評価されるはずだ。ここまで話せば良いだろう。
進太郎が、「あのー、次のコンタクトについてなんですが…」と話し始めたところで、室井がそれを遮った。
「先ほどから、“違った”とおっしゃっていますが。では、曽根さんの理想はどんな方なんでしょうか」
その声から、彼女が不機嫌であることを察した進太郎は、ビクッとした。
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第5話:「ついに運命の人に出会えた」猛アタックする男を待ち受ける、予想外すぎる展開
進太郎は、2回目のマッチングを前に、ガチガチになっていた。
緊張のせいで、やたら喉が渇く。自分を落ち着かせるように、進太郎は水をガブガブ飲み干す。
グラスが空になると、ウエイターが気を利かせて注いでくれるので、店に到着してからの15分で、気づけば3杯も水を飲んでいた。
今日の相手は、カウンセラー・室井イチオシの女性だ。さすがはカウンセラー。プロフィール写真は、進太郎のタイプど真ん中だった。
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第6話:人生で初めて失恋した男。彼がやってしまった恋愛初心者の大失敗とは?
翌日、昼食を取っていると、新着メッセージを知らせる音が鳴った。画面を見た進太郎は、思わず「やべっ」と声に出してしまった。
“お世話になっております。最近の活動状況はいかがでしょうか?
フィードバックもございますので、一度お電話出来たら幸いです”
カウンセラーの室井からだった。
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第7話:社内で噂の謎多き美女。休日に目撃してしまった、彼女の衝撃的な姿
口では、“価値観が合う人が理想”などと言っていたものの、実際にはルックスに大きく左右されるなんて。進太郎は、自分のことを苦々しく思った。
次のマッチングに向けて相手を探さねば…と、パソコンをスクロールしていると、スマホが鳴った。
「しんちゃん、元気にしているかしら?」
電話越しの甲高い声は、息子のために代理で婚活をしている、ヤバい母親だった。
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第8話:皆の前では天使、俺の前では塩対応。彼女が終業後に激変する理由とは?
−あ、梅田さんだ。
オフィス1階のエレベーターホールでぼんやりとエレベーターを待っていた進太郎は、先日遭遇した謎の美女・梅田杏を発見した。
この前のジャージ姿とはうって変わり、シックなワンピースに身を包んだ彼女は、ピンと背筋の伸びた美しい姿勢で立っている。
時折、同僚を見かけるとにこやかに「おはようございます」と挨拶している姿に、進太郎の頭は混乱する。ラフなジャージ姿だったことはさておき、いかにも無愛想で自分に塩対応してきた杏とは別人のようだ。
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第9話:親の敷いたレールに乗ってきた29歳エリート男。塩対応な女子に惹かれてしまう理由
これまで、両親(特に母親)の望むように、言う通り生きてきた進太郎は、いつしか、自分で何かを決めることが出来なくなっていた。
いや、出来ないわけではない。正直に言えば、自分で決断したことがないから成功体験もない。だから、怖いのだ。
−でも、ここで変わらなければ自分は一生変わらない。
婚活すると決めた時の初心を思い出した進太郎は、自分を奮い立たせた。
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第10話:数々のアプローチを無視して来たモテ女。彼女の気持ちが揺れた、男の奇襲攻撃
進太郎は、根拠のない自信に満ち溢れていた。手際よく料理を進めているうちに気分が良くなってきた。作業用の音楽をかけて、ラストスパートをかける。
オーブンでキッシュを焼いている間に、並行してラッピングの準備も。ハーブマリネとラタトゥイユ用の保冷剤のチェックも忘れない。
−これで、梅田と話すきっかけが出来たぞ。
料理を終えた進太郎は、我ながら100点満点を与えたくなるような絶品料理を前に、にやけた。
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第11話:「ヤバいことした…」後悔に苛まれる男。彼のもとに届いた、衝撃的なメール
彼女と話してみたいという一心での行動だったが、心の距離は近づくどころか、遥か遠くなった気もする。
−謝罪のメールを送ろうかな。
ようやくオフィスに到着した進太郎は、パソコンを立ち上げながら、そんなことを考えていた。このまま仕事で気まずくなるのは避けたいが、これ以上何かすると事態を悪化させる可能性も高い。どうしたら良いものか。
頭を悩ませながらパソコンを開いた進太郎は、1通のメールに目が釘付けになった。
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第12話:難攻不落の美女を落とした、恋愛経験値低めの男。彼が彼女の心を動かせた理由
室井もビジネスでやっていること。そんなの百も承知だが、これまで親身になってくれた彼女には、なぜ心変わりしたのか、休会のきっかけなど、胸の内を聞いてほしい気持ちもあったのだ。
−“察してちゃん”じゃダメだ。自分で意思表示しなくては。
そう思った進太郎は、室井が休会方法について説明を終えたタイミングで、おずおずと切り出した。
「実は、将来を考えたいと思える人に出会えたんです」
第12話の続きはこちら
番外編:「まさか彼女と付き合うとは…」29歳エリート男が理想と程遠い女に決めた理由
杏と交際をスタートさせてから、進太郎に2つの変化があった。どちらも、彼女と付き合っていなかったら気づいていなかっただろう。
第一に、人を、思い込みやイメージで判断することがいかに愚かなことか、ということだ。
杏が良い例だ。会社の杏といえば、整理整頓されたデスクに座り、いつも計画的に、チャキチャキと仕事を進めている。
そんな姿から、家は綺麗に片付いており、家事も手際良く進めていくものだとばかり思っていた。
番外編の続きはこちら
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