SPECIAL TALK Vol.73

~半導体もワインも同じものづくり。異色の二本柱で挑戦していきたい~

金丸恭文氏 フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。

金丸:でも、最初におっしゃっていましたが、日本料理に合うワインというのは、やはりこだわりを持って日本で造ってこそ、ですよね。

松坂:そうですね。もう一つ山梨の話をすると、実は以前、有孔縄文ツバ付き土器という穴のある縄文土器からぶどうの種が出てきたことがあるんです。実際のところはまだわからないので、私が無理やり結びつけているだけですが、その土器がジョージアのクヴェヴリ(紀元前6000年頃、最古のワインを製造していた壺)と瓜二つなんですよ。

金丸:ええっ、それはロマンのある話ですね!もしかすると縄文土器でもワインを造っていたかもしれない。

松坂:レプリカを作って試しに醸造してみたくて。

金丸:お話を伺っていると、理系的なんだけど、ロマンを忘れていないのが松坂さんの魅力だと思います。

松坂:ロマンというか、これは夢なんですが、うちのワインでヨットレースのスポンサードをしたいとも思っています。

金丸:ヨットレースですか。ご自身もヨットを?

松坂:大学生の頃にのめり込み、今でも続けています。

金丸:私の友人にもクルーザーを持っている人はいますが、ヨット乗りはいませんね。

松坂:帆に受ける風だけを推進力にするのが、ヨットの醍醐味です。設計思想を理解して、うまく風を捕まえつつ強すぎる風は受け流し、設計通りの性能を出し切るのが楽しいんです。

金丸:すごく頭を使いそうですね。松坂さんがのめり込むのもわかります(笑)。

松坂:チーム競技も面白いですよ。私がよくやっていたのは7人のチーム戦ですが、それぞれのポジションに集中するだけではなく、みんなで「風上に向かう」という意識を共有することが大事だし、少しでも風上にいれば、どんなに強い相手にも勝てる。逆にリードしすぎると、風の方向が変わって、どんでん返しが起こることもある。

金丸:ビジネスでも何でも、同じことが言えますね。

松坂:単純にヨットで沖に出て、ワインを飲むのも最高ですよ。これまでグラスを何個割ったかわかりません(笑)。

金丸:たしかに気持ちいいでしょうね。さて最後に、これからの時代を生き抜く若者に松坂さんからメッセージをいただけませんか?

松坂:また台湾の話になりますが、台湾の場合、起業して失敗しても、国の研究所で受け入れてくれますし、給料を保証して個人に借金は負わせない制度があります。起業するためのサポートも手厚く、起業したい人は起業に没頭できる環境が整っています。

金丸:たとえるなら、彼らはしっかりした命綱をつけてバンジージャンプをしている、と言えますね。一方、日本は命綱をつけずにバンジージャンプしろ、と言っているようなものですから。

松坂:実際には日本にも、ものすごく細い命綱はあるんですが、それを自分自身で太くして飛び込まなきゃならない(笑)。とはいえ、「自分が本当にやりたいことは何か」「どんな仕事がしたいのか」ということは考え続けなければいけません。組織の中で仕事をするとき、最終目標を達成するために、それぞれの人にミッションが与えられます。そのミッションは、自分が本当にやりたい仕事ではないかもしれない。

金丸:でもそこで腐ってしまえば、先はありません。

松坂:そうです。それが嫌な人は、自ら進むべき道に向かって、自ら挑戦してほしいと思います。私は結局、自分が楽しく働けることが一番だと思っています。楽しく働いてこそ、すべてが報われることに繋がるのではないでしょうか。

金丸:異業種から乗り込んで、大好きなワインを新事業として立ち上げた松坂さんの言葉ですから、説得力があります。MGVsが山梨県の個性豊かなテロワールを世界に広めてくれる未来を、心から楽しみにしています。今日は本当にありがとうございました。

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