2020.01.04
あの子が嫌い Vol.18私程度の女なら、この街にくさるほど居るー。
地元を飛び出して上京し、憧れの人気女性誌への入社を果たした秋吉りか子(29)は、自分の"無個性"にウンザリする日々を過ごしていた。
そんなある日、中途で採用された一人の女が、りか子の前に現れる。ムッチリとしたスタイルに、やたら身振り手振りの大きな帰国子女。
りか子が虎視眈々と狙っていたポジションを華麗にかっさらっていき、思わず嫌悪感を抱くがー。
まるで正反対の二人の女が育む、奇妙なオトナの友情物語。
2020年も頑張りましょう。昨年2019年のヒット小説総集編、「あの子が嫌い」一挙に全話おさらい!
第1話:無個性女が掴みかけた、ファッション誌のポスト。それをかっさらったポッチャリ女の正体
かつて私は、地元の百貨店の冴えないアパレル販売員だった。平坦な日常に終止符を打つため上京し、やっとの思いでここに転職したのは3年前のこと。
ライターとしても編集者としても経験のない私は、多少ファッション業界の知識があるということで、編集長の秘書としてのポジションを与えられた。
しかし、憧れだけで飛び込んだ人気女性誌の世界は、想像していたものとはかけ離れた世界だったのだ。
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第2話:同棲して2年経つのに、年末年始は別々なの…?結婚してくれない彼氏から「面倒」と言われた29歳女
「秋吉さん、一体これはどういうことなの。」
朝一番、デスクの前に立ち、氷の視線を私に向けているのは、「女帝」と呼ばれ社内でも恐れられている編集長の高梨涼子だ。
どうやら私は、また彼女を怒らせてしまったらしい。目を合わせることも出来ず、小さな声で「申し訳ございません」と言うだけで精一杯だ。そこに、聞き覚えのある不愉快に明るい声が響く。
「What’s going on?」
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第3話:「このレベルの女なら、腐るほどいる…」。無個性に悩む量産型女子が見つけた、ライバル女の意外な弱点
誰でもない、何者でもない"私"という存在。飛び抜けて美人でもなければ、アンナのように強烈な個性があるわけでもない。
要するに、私はこの街で量産されている、そこそこ身綺麗で、そこそこ頑張っている程度の女に過ぎないのだ。
MacBookを閉じ、ため息を一つついてから席を立つ。
今日は、あの日以来ずっと先延ばしになっていた、人事総務の美津子さんとのランチの約束をしている。
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第4話:「結婚するつもりはない」。恋人の朝帰りを待つ女に、美女と一夜を過ごした男がつきつける冷酷な真実
真面目で面白みに欠けて、応用のきかない、頭でっかちの秋吉りか子。
小阪アンナの隣にいると、そんな自分が一層際立ってしまう。これ以上は耐えられないと、思わずキツイ言葉を投げつけてしまった。
言い過ぎたかもしれない、と、心の隅で感じてはいたが、あの天真爛漫な笑顔を思い出すと腹が立って仕方がなかった。
ーもうちょっと落ち込みなさいよ。何が”飲みに行かない?”よ…。
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第5話:「いい女ぶるの、やめろよ」。"彼氏の愚行"に気がつかぬフリをした女を責める、裏切り男の卑怯な一言
ただでさえ、仕事で打ちのめされているのだ。これ以上の無用なトラブルを避けるため、彼の愚行を見て見ぬふりをしようとすれば「いい女ぶるのはやめろ」と言われる。
一体、どう振る舞うのが正解だったのだろうか。ずっしりと重くのしかかる彼の言葉。
—いい女ぶるな、ってどういう意味よ。どうして私が責められなくちゃいけないの…。
じわりと心を蝕むネガティブな感情は、目黒駅に着いてもまだ消えてはくれなかった。
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第6話:美女の会合に参加した“冴えない女”。勝ち組にのし上がるための、密かなもくろみとは
「あのっ、最近編集部の方はどうですか?新人も入って、いろいろ大変じゃないかなって思って…。」
自分の悲惨な恋愛話に足を踏み入れられる前に、私は話題を変えた。
そして、私が"新人"と言うと、途端に3人の顔が曇りだす。そんな彼女たちの表情を見て、私はニヤリと笑ってしまいたくなるのを必死でこらえていた。
「新人…ていうか、アンナちゃんよね。あの子ちょっと、大変だわ。」
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第7話:コンプレックスまみれの女が、29年の人生で唯一自慢できたもの。彼女が“裏切り男”にすがりつく理由
20代最後の冬は、本当に、最低だ。
しかし、これ以上最悪なことが、自宅で待ち構えているとは考えもしなかった。
玄関を開けると、誰も居ないと思っていたリビングに明かりがついていたのだ。
恐る恐るリビングに向かうとー。そこには、あの男がソファーに腰掛けているのが見えた。
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第8話:“空気の読めない女”に触発されて…。無個性なモブキャラ女子が、一晩で大変身をとげたキッカケ
決して目立たないように感情を殺していれば、誰かの悪意に攻撃されることはない。余計なことを口に出さず、ただ黙って微笑んでいればすべては円滑に進んでいく。
幼馴染の言う“真面目でエライりか子”は、家族も友人も失望させる事なく、マニュアル通りの人生を生きる。
それで万事うまくいき、誰も不幸にはならない。私、以外は…。
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第9話:「絶対に“あの場所”にだけは帰りたくない…」。愛する男を失ったばかりの女に届いた、1通の封筒
アンナに自分の事を洗いざらい話した夜、アンナが修一について、まるで自分の事のように怒ってくれたのが嬉しかった。眉間にシワを寄せて何度も「その男、サイテーね!」と口にするアンナの言葉に、私はホッとしていたのだ。
アンナが居なければ、いつまで経っても心の離れてしまった男にすがりつき、惨めな時間を過ごしていたに違いない。
「ちゃんと自分から別れるって言わないと、一生その最低男を引きずることになるわよ。」
アンナに背中を押され、私は修一と神宮前のカフェで会う約束をしていた。
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第10話:人気者の女と、“付き人”ポジションの女。30歳手前で立場逆転をされた、幼なじみの本音とは
「もしもし、美香?本当にごめんね、急に引っ越しすることになって、バタバタしてて…。」
新居が見つからず、恵比寿駅の西口で途方にくれている時に受信した美香からのメッセージ。それを見てすっかり青ざめた私は、慌てて彼女に電話をかけた。
「いいよ、気にしないで。それより、引っ越しって本当?まさか例の彼と、ついに結婚するの?」
美香は電話越しに声を弾ませているが、想像とは真逆の事態が巻き起こっていることを彼女はまだ知らない。
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第11話:初対面のイケメンから「ダサい」と言われた29歳女。突然やってきた、無礼すぎる冷徹男の正体とは
—結局、不採用だったのかな…。
ふと思い出した恵比寿の採用会食。あの日以来、特に変化もなくSPERAREでの日々は過ぎていった。
取り越し苦労だったのかと、ほっと胸を撫で下ろしたその時だった。カツカツと高圧的なヒールの音が廊下に鳴り響く。それは編集長の足音に間違いない。
しかしその音には、聞き慣れない男物の靴音が混じっていた。
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第12話:外見を変えただけで、調子に乗るな。入社1日目の毒舌イケメンから排除されてしまった女
—平常心よ、りか子。
声に出さず、私は何度も自分を落ち着かせるために頭の中で、そう繰り返していた。焦りと動揺を隠せないまま迎えた月曜日、ついに五十嵐はSPERAREへとやってきたのだ。
私が部署異動を再び決意した日に、突然現れた編集部の新メンバー。編集長の隣を歩く姿に見惚れていたのもつかの間、不意に「すみません」と口にした私に向かって、五十嵐が「ダサい」と言い切って去っていったのは先週末のこと。
何度も蘇る悪夢のようなワンシーンに、私は少なからず苦しめられていた。
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第13話:「まさか、クビ・・・?」"女帝"に仕え続けた3年間。彼女から言われた想定外のオファー
—さすがに、今は話しかけられないわね。
明日の会議資料と、朝から手をつけられずに放置されたチャイラテを見つめながら、ため息をついたその時だった。
カツカツという耳慣れたヒールの音が、私のデスクの方へ近づいてくる。そしてその音がピタリと止まると、抑揚のない声で話しかけられたのだ。
「秋吉さん。仕事切り上げられそうだったら、少し付き合って頂戴。」
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第14話:夜のオフィスで勃発した、女同士の壮絶バトル。29歳の秘書が泣き出してしまった理由とは
彼女は、私と五十嵐の間に何があったか知らない。酷い言い方だったとはいえ、彼の言うことにも一理あると思うと、恥ずかしさのあまり誰にも話すことはできなかった。
「ねえ、リカコ。予定って何?本当に予定があるの?」
私のウソに気づいたのか、アンナの声にはふたたび怒りが滲みはじめる。
「どうして?絶対に編集部を諦めないって言ったじゃない!いつまでそのデスクにしがみついてる気!?」
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第15話:「覚悟しろ」冷徹な毒舌イケメンが初めて見せた仕事への情熱と、29歳女の夢と現実の行方
トラウマと言っても過言ではない、これまで五十嵐から言われてきた辛辣な言葉の数々。それらは私の心に深いダメージを与え、アンナのおかげでやっと持ち始めた自信も、木っ端微塵に打ち砕いてしまった。
—今度は、一体なんて言われるんだろう。
そう怯える一方で、編集部に行きたいという希望を伝える、いいきっかけなのかもしれないという思いもある。すると、ようやく五十嵐は口を開いた。
「秋吉さん、俺に何か言いたいことあるって聞いたんだけど?」
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第16話:“何の取柄もない女”が、20代最後に掴んだ大逆転。はじめは大嫌いだった女との、意外な関係の結末
この前まで、アンナと一緒に夢を語り合いながらワインを飲んでいたというのに、今はたった一人で真っ赤な液体をグラスに注いでいる。
—アンナが…SPERAREを辞めるっていうこと?
五十嵐は「秋吉さんは知っていると思うけど」と言っていたが、私はそんな話は聞いていない。確かにアンナとは揉めてしまったけれど、恐らく退職の話はそれよりも前に決まっていたはずだ。
彼女が入社してから、まだ半年も経っていない。きっと、何か事情があるのは間違いないけれど…。
—私には、教えてくれなかった…。
第16話の続きはこちら
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