出世欲☆ガール Vol.1

出世欲☆ガール:「仕事は給与をもらう手段」定時帰りの24歳OLが直面した、厳しい現実

梨沙は気楽な女子大生活を楽しんだあと、この会社に新卒で入社した。

大手IT企業と言われる梨沙の会社だが、企業へのシステム導入や自社商材の開発、また、ビッグデータのコンサルティングなど、幅広く事業を行っている。

会社説明会では、文系出身の梨沙はITのことはよく分からなかったが、オフィスはカフェスペースや一人きりで仕事に打ち込める集中スペースがあるなどお洒落な空間で、そこにいる社員は皆キラキラと輝いているように見えた。

あのときは漠然と、仕事を頑張ろうと素直に思っていた。

そして入社後は、人事部の教育課に配属された。

仕事は、研修の参加者を募り、講師に連絡し、会場設営し、研修が終わったらアンケート集計して報告書を出すことの繰り返し。

研修終わりに会場に行くと、講師にお礼をする社員や、楽しそうに話をする社員達はいるが、梨沙にお礼を言いにきたり、話しかけてくる社員は滅多にいない。

―この研修を準備してきたのは私なのに…。まるで、自分は誰の視界にも入っていないみたいだ。

そんなふうに感じ始めてからは、仕事はお給料をもらうための手段だと思うようになった。仕事への積極性は無くなり、ただ淡々と“最低限”をこなしていくようになった。

だからこそ、梨沙は仕事が増えるのはとても嫌だった。

終業時間になったらすぐに退社し、女子会をしたり買い物をしたり、予定がないときは家でNetflixを見ながら料理をして1人でそれをつまむ。これが梨沙の毎日だった。



そして迎えた、キックオフの当日―。

憂鬱な気持ちで会議室に行くと、すでに自分以外のメンバーがそろっていた。梨沙が慌てて空いている席に座ると、すぐに会議が始まった。会議進行していたのは、加藤だった。

どうやら、このプロジェクトは加藤が企画したようで、プロジェクトマネージャーを務めていた。加藤は色白で王子様のような顔立ちをしており、すらりと長い手足に細身のスーツがよく似合っている。


このコンテストは、「新規事業を創りたい」というやる気のある社員が自ら応募し参加する形式だ。参加が決まったら2ヶ月間かけて新規事業を考え、最後は役員にプレゼンをする。その結果次第では実際に事業化するというものだった。

経営企画室と人事部は参加者が円滑に活動できるよう、週2回の研修......


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