マルサンの男 Vol.12

女の知らぬ間に、元カレ同士が急接近…。2人の男が交わしていたヒミツの会話とは

男も女も、誰だって恋愛しながら生きていく。

だから愛するカレには、必ず元カノがいる。

あなたの知らない誰かと過ごした濃密な時間が、かつて存在したかもしれないのだ。

愛するカレは、どんな相手とどんな人生を歩んでいたのか――?

幸せ未来のため、相手の過去を知ることは、善か悪か。

あなたは、愛する相手の過去が、気になりますか?

◆これまでのあらすじ

29才の南美は、6才年上の恋人・数也がプロポーズを考えていると知り、幸せの絶頂にいた。だが同時に、彼の2度の結婚歴が気になり1番目の妻・竹中桜2番目の妻・福原ほのかそれぞれと密会する。

しかし数也には、3度の結婚歴があると判明。学生結婚した平木真穂とは交通事故で死別しており、遺族は数也を許していなかった

そして数也との決別を誓った南美に、かつての恋人・拓郎から電話が来るが…。


「5年ぶり。元気にしてた?」

かつて南美の唯一無二だった男・拓郎は、電話の向こうで声を弾ませた。

「電話番号が変わってなくて良かったよ」

「番号変わってたとしても、どうせLINEで繋がってるじゃない」

まだ何も知らない高校生のころから、7年も付き合っていた相手だ。久しぶりだというのに、話し始めると南美もすぐに緊張がほぐれてしまう。

「俺からはLINEが繋がってるように見えるけど、そっちはブロックしたのかと思ってさ。だから電話にした。ははは」

何がおかしいのかわからないが、拓郎は笑った。

「良かったよ。とにかく繋がって」

「要件は、何?」

拓郎のペースに飲み込まれたくない。南美はあえて事務的に尋ねる。

「うん。そんなに話は長くならない」

拓郎は、急に声のトーンを落とした。

「口止めされていたんだけど、南美には伝えたほうがいいと思って」

「口止め…?」

南美は思わず聞き返す。何の話なのか、見当もつかなかったのだ。

すると拓郎の口から飛び出したのは、耳を疑うような言葉だった。

「藍沢さんって人が、俺に会いに来た」

「えっ……」

突然の拓郎からの電話に混乱した頭は、その話しぶりが懐かしくて一度は落ち着いたものの、今ふたたび混乱し始める。

「数也さんが?」

「そう、藍沢数也さんが『話をさせてほしい』と言って、俺のところに会いに来たんだ」

「なんで?なんで?」

南美はうわ言のように呟いてしまう。

生まれて初めての“ちゃんとしたカレ”だった拓郎のことは、人生二人目の“ちゃんとしたカレ”の数也には話したことがある。

だが名前を告げたことはない。接点はないはずだ。

なのに、なぜ数也は拓郎に会うことができたのか。そして数也は、拓郎とどんな話をしたのか。

「ヒデくんが間を取り持ってくれたんだ」

「ヒデくん…?え、秀人が?」

「そう。ヒデくんとはLINEで繋がったままだから」

大学時代のサークル仲間の秀人と、当時の恋人の拓郎は、南美を介して知り合い何度も遊んだ仲だ。特にバーベキューは大いに盛り上がり、そういえば二人はすっかり意気投合していた。

「秀人とまだ会ってたの?」

「いや、ヒデくんがテレビの仕事を始めてからは、そんなに会ってないかな。彼、忙しそうでさ。でも南美には内緒でたまに会ってたよ」

そして、そもそも南美が数也と知り合ったきっかけは、数也と行きつけのバーが一緒だった秀人だった。

秀人は、数也とも拓郎とも知り合いだ。つまり、二人を繋ぐことができるのだ。

「そうだったんだ…」

「数也さんと俺が何を話したのか、南美に伝えなきゃって思って電話した。数也さんには口止めされたから、絶対秘密にしてよ」

一体、どんな話をしたのか。南美は次の言葉を待ちながら、心臓が止まりそうになった。

【マルサンの男】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo