聖女の仮面 Vol.3

「純潔ではない」というレッテルを貼られ…。過去に嵌められた美女が、友人の前に再び現れた理由

女は、仮面を被った生き物だ。

優しい微笑みの裏に、怒りや悲しみ、ときに秘密を隠し、本当の自分を偽りながら暮らしていく。

たとえば聖女のような女にだって、裏があるかもしれない。

それを美しい仮面で覆い隠しながら、生きているのだ。

恵子が高校生の頃、聖陽女学院で、ある一人の女生徒が、理由もわからず突然転校していった。

あれから10年。27歳となった恵子たちの前に、あの時いなくなった女が現れてー。

4人の女が美しい仮面の下に隠す、素顔と真実とは?

美しく姿を変えて3人の前に現れた絹香から、秘密の話を持ちかけられて、驚く恵子。二人っきりのタクシーで語られる衝撃の真実とは…?


―それにしても、なんて綺麗な横顔なのかしら・・・。

絹香と二人きりのタクシーで、恵子はその美貌に、改めて見惚れていた。

「もう、恵子ったら。私の顔に何かついてる?」

クスクスと笑う絹香の口元には、エクボが浮かぶ。それは、彼女の昔と現在を結びつける、数少ない痕跡だ。

「ごめんなさい!私ったら。…えっと、それで、私にだけ話したいことって、なに?」

「ふふ、相変わらず恵子はマイペースね。昔と全然変わらなくって、安心したわ。」

そう言うと、絹香は小さく息をついた。

「10年ぶり、か。あの頃とは違って当然だけど、それでも驚いたわ。あの萌がママに、さくらは…酒豪に!それに、恵子も随分痩せて、綺麗になってるんだもの。」

絹香の視線を一身に受け、恵子の頬はカッと熱くなる。

美女へと大変身を遂げた絹香と比べると、恵子の見た目の変化など、ほんのわずかだ。

優しい微笑みを浮かべる絹香は、嫌味を言っているようには見えないが、恵子は何とも言えない気まずさから、下唇を噛みしめた。

「だけど、少し話せばすぐわかった。みんな、あの頃と中身は全然変わってない。昔に戻ったみたいで、今日は本当に楽しかったのよ。

…だから、水を差すようで、聞けなかった。今日、みんなに確かめたいと思っていたことを。」

絹香が、手をぐっと握り締める。

「私、犯人を探してるの。…私を聖陽女学院から追い出した、犯人をね。」

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