2019.07.23
元・夫婦 Vol.11“夫婦”
それは、病めるときも健やかなるときも…死が二人を分かつまで、愛し合うと神に誓った男女。
かつては永遠の愛を誓い生涯のパートナーとして共に暮らしたはずなのに、別れを選んだ瞬間、最も遠い存在になる。
離婚から10年。園山美月(35)は、もう二度と結婚はごめんだと、仕事に没頭していた。
もう2度と会う事はないと、思っていたのに―
偶然の再会を果たした2人の間に、元夫婦の複雑な感情が芽生え始める…。
「元・夫婦」一挙に全話おさらい!
第1話:愛した男に捨てられた過去。再起をかけた35歳バツイチ女を惑わす、残酷な運命
今日は、美月が設立したモデルプロダクションのレセプションパーティーだったのだ。パーティーをなんとか無事に終え、二人のスタッフとともに三次会を楽しんでいた。
三次会といっても、事務所での簡単な打ち上げだ。お祝いにもらったシャンパンを開け、ようやく一息吐く。
モデルプロダクション「Chel-Sea(チェルシー)」には、社長の美月のほかに二人のスタッフ、そして三人の女性モデルが所属する。まだ規模は小さいけれど、いずれは世界で活躍するモデルを多数抱えるのが目標だ。
美月は、夢に向かっての第一歩を、今日ようやく踏み出したのだ。
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第2話:「あの時の、子供?」過去に夫を奪われた女の古傷をえぐる、衝撃の真実
―こんな形で再会することになるなんて…。
自分の元夫が、契約にやってきたモデルの父親だという現実を、美月はなかなか受け入れられずに、茫然と立ちつくすしかなかった。
「小春。この事務所と契約は出来ない」
「どうしてそんなこと言うのパパ!?」
「とにかくダメだ、帰るぞ!」
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第3話:悲劇的な再会で心乱された女に、真夜中の電話。助けを求める声の主とは?
「円満離婚なんて、絶対にこの世に存在しません。だから芸能人の離婚理由なんて全部うそ。だいたい円満だったら離婚なんてしないはずよ…」
六本木の『マデュロ』で、美月はビアカクテルを煽りながら、一気にまくし立てた。
「これ、本当にアルコール入ってるのかしら? ああ、今日は全然酔える気がしない」
元夫との再会に心を乱されていた美月は、ある男を呼び出していた。
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第4話:「お前は、一人でも生きていける」。禁忌を犯した男が妻に下した、残酷な決断とは
世界に羽ばたくモデルをこの手で育てるという夢に、小春との出会いで手が届きかけたと思った。
しかし、まだ二人の関係を知らない小春のことを、このままだと巻き込んでしまう。どうにか騙し騙し進めても、いつかはほころびが出るだろう。
「小春からは手を引く。もう、二度と関わらない。」
契約を白紙に戻す。これ以上誰も傷つかないようにするには、この方法が最善だろう。美月はパソコンを起動し、ある一通のメールを送ったのだった。
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第5話:「彼は、私の元夫」。悲惨な過去を打ち明けた女に降りかかる、さらなる試練とは
―小春ちゃん、どこにいるの…?
美月は人をかき分けて竹下通りから裏道まで、スカウト待ちをしているという小春を探し回っていた。暫く駆け回っていると、すらりと背の高い見覚えのある姿が目に入る。
しかし、小春と思しき女の子は怪しい男に促され、黒いバンに乗り込もうとしているところだった。
「小春ちゃん!!」
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第6話:「もうこれ以上、隠し通せない…」。赤の他人に暴露された、元夫婦の過去
「飛行機に間に合わないって、どういうこと!?」
まるで夫婦だったころの待ち合わせのような口ぶりで、裕一郎は電話越しに「後から追いかける」と、言い出した。
「そんな簡単に言うけど、飛行機、1日に何本もないのよ?だいたい小春はどうしたのよ。彼女がいないと撮影は…。」
「いや、すまん。今小春連れて病院に来てるんだよ。夜中に急に高熱出して、点滴打たせてたんだ」
「え!?大丈夫なの?」
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第7話:「夫を奪った、あの女が来た?」女社長のトラウマをえぐる、不吉な一本の電話
その夜、美月と裕一郎は、小春に真実を伝えることにした。まだ起きていた小春に向かって、裕一郎が言いにくそうに切り出す。
「小春、もう気づいているかもしれないが…」
すると小春は、平然とした顔で答える。
「パパと美月さんが昔結婚してたってこと?それならとっくに知ってる」
「えっ…」
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第8話:「男なら誰でも虜になる」。元カレさえも魅了した、魔性の女との直接対決
小春の母親である乾 優香子は、美月の不在時に東京の事務所に突然現れて、娘をやめさせたいと高岡に迫ったらしい。
たまたまその場に居合わせた高岡は、親会社の人間で、かつ出資者ではあるが、「Chel-sea」の業務内容についてはノータッチだ。しかし、場数を踏んでいるだけあって、優香子をうまくフォローしつつなんとかその場を収めてくれたようだ。
小春の撮影は大成功に終わったものの、東京に戻る美月の足取りは重かった。羽田空港から直接学校へ向かう小春を笑顔で見送ると、どっと疲れが出て、しばらく空港のロビーでうなだれていた。
すると、そこに突然現れたのが、この男・高岡だ。
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第9話:「夫を貴女にお返しします」10年前の罪をようやく認めた女。彼女がとった最低の行動とは
芸能事務所で働いていると、同じような場面にはたびたび遭遇するのだ。親と一緒に子供を説得することもあれば、子供のために一緒に親を説得することもある。
小春の場合、親たちの過去の関係性があまりにも特殊だという点がある。
ただ、そこは「私情を持ち込まない」という小春との約束を尊重し、優香子とは腹を割って話さなければならないと思っていた。
しかし、話はまったく想像していなかった事態へ向かっていくのだった。
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第10話:新人モデルに訪れた、絶体絶命の危機。信じられないスクープ写真の真相とは
リビングのテーブルに広げられた数々の写真を見て、優香子はガタガタと震え始めた。
「そんな…信じられない…小春がどうして…」
そこには、大きく見出しと記事を入れた、ゲラと呼ばれる見本原稿まで用意されていたのだ。
芸春砲と呼ばれるスクープで有名な週刊誌の記者の男は、美月と優香子の目の前で、ニヤニヤといやらしい笑いを携えていた。
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