元・夫婦 Vol.9

「夫を貴女にお返しします」10年前の罪をようやく認めた女。彼女がとった最低の行動とは

“夫婦”

それは、病めるときも健やかなるときも…死が二人を分かつまで、愛し合うと神に誓った男女。

かつては永遠の愛を誓ったはずなのに、別れを選んだ瞬間、最も遠い存在になる。

10年前に離婚した園山美月(35)は、過去を振り切るように、仕事に没頭していた。

ついに、元夫の妻―優香子と対峙することになった美月。

優香子は、離婚の原因となった因縁の相手。元夫の“不倫相手”であり、“今の妻”だ。

美月は決意する。夢を追う小春のために、いつまでも逃げているわけにはいかない。ついには、優香子の住む家を訪れたのだった。

そしていよいよ二人は向かい合う。


「あの…それでご用件は?」

重苦しい沈黙を破った優香子の声が、広々としたリビングルームで空虚に響く。

美月は、昔、自分の夫を奪った憎き相手・優香子と向かい合って座っていた。

「優香子さんが事務所にわざわざ来てくださったので…。不在にしており、大変失礼いたしました」

元夫の新しく築いた家庭を訪れる未来なんて、一体誰が想像しただろうか。

―ああ、私どうしてこんなところにいるのかしら…。

自分から訪れたはずなのに、この事態が受け入れられないという不思議な気持ちだった。

美月は、一呼吸ついて、目の前のソファーに向かい合って座る優香子の様子を見据える。

彼女は目を伏せたまま視線を動かさず、指先を小刻みに震わせていた。

その姿を見て、美月は我に返る。

自分は優香子に因縁を晴らしにきたわけではないのだ。毅然とした態度で、話をするのみ。だいたい、優香子が言っていることが腑に落ちない。

「ご用件は?」だなんて白々しく尋ねてきたが、そもそも先に会いに来たのは優香子の方だ。用件があるのは彼女の方だろう。

勢いで乗り込んだものの、この場所の居心地が良いとは言い難い。優香子の真意が何なのかわからないが、美月は早く話を進めたかった。

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