略奪愛 Vol.11

「あなたに、夫は渡しません」略奪愛を企む女に突きつけられた、正妻からの宣戦布告

人のものを奪ってはいけない。誰かを傷つけてはいけない。

そんなことは、もちろんわかっている。

しかし惹かれ合ってしまったら、愛してしまったら、もう後戻りなんてできない−。

渋谷のWEBメディアで働く三好明日香(24歳)は、彼氏がいながら上司・大谷亮(おおたに・りょう)一線を超えてしまう

しかし大谷は既婚者。一旦は距離を置こうとするも、二人は略奪愛を覚悟する

ストーカー化した明日香の元彼・昭人から逃げるように二人は同棲を開始

束の間幸せな日々を送るも、何者かの仕業により二人の関係が全社メールで暴露される。さらには、上海にいる大谷の妻が帰国することになった。


冴木奈々:「自分だけ幸せになるなんて、許せない」


− 三好明日香、年内で会社辞めるらしいよ −

その事実を聞いたときは、さすがの私も胸が痛んだ。別に彼女を辞めさせるつもりなんてなかったから。

しかし、のしかかる罪悪感を私はすぐに払いのけた。卑怯な手を使ったことは認める。だがそもそも咎められるようなことをしているのは彼女の方だ。退職に追い込まれたとしても、元々は自分が蒔いた種なのだ。

「そうよ。悪いのは三好明日香。自業自得なんだから…」

有給休暇を取得しているらしく、彼女のデスクは空席のまま。椅子にかけられた赤いチェックのひざ掛けをぼんやり眺めながら、私は“あの夜”のことを思い出していた。

そう、あの日は最悪だった。

私には社内に何人かお気に入りがいるが、それはあくまで暇つぶし。半年ほど前から3歳年上の商社マンと付き合っていて、そちらが本命だ。

大谷のようなヘッドハンティング組は別だが、私のような平社員がベンチャーで稼げる収入なんてたかが知れている。

目黒に借りたマンションの家賃、光熱費、通信費等々を支払い、日用品を買い揃えたら手元には微々たる金額しか残らない。贅沢なんて一切できない。

来年早々にやってくる更新月を前に、私は麻布十番に住む本命彼氏との同棲を目論んでいた。

それなのに、そのアテが完全に外れたのだ。

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