略奪愛 Vol.8

「別の男といるんだろ!?」嫉妬に狂い豹変した彼と、愛欲に溺れた女の修羅場

明日香:深夜の招かれざる客


見て見ぬ振りをしていた現実が、激しい憎悪とともに降りかかってきたのは、大谷と過ごす夜が当たり前となった頃だった。

その日、仕事を早く切り上げた私は自宅で一人の夜を過ごしていた。

大谷は、今夜家には来ない。

私がそうして欲しいと頼んだからだが、大谷はほぼ毎日、私の家で寝泊まりしている。ただ狭い私の家に二人分の荷物は置けないので、2,3日に一度は自分の家に戻るのだ。

彼は今夜とあるパーティーに出席するらしく、夕方には社長と連れ立って会社を出て行った。

“かなり夜遅くなるから、今夜は自宅に戻る”

出かける間際、業務連絡に紛れ届いた社内メール。気づかれぬよう交わした微笑を思い出すと、思わず頬が緩んでしまう。


PPP…

乾燥を終えた洗濯機が終了を知らせ、私は自分の下着とともに、大谷の下着も一緒に取り出した。

少しずつ増えている彼の持ち物。お揃いで買ったマグカップ。洗面所に置かれた、彼の歯ブラシ。そのすべてが愛おしい。

−彼氏のこと、大事にしてやれよ−

恋に浮かれる私の脳裏に、その時ふと徹の忠告が蘇ったのは、ただの偶然だっただろうか。

毎日机を並べて仕事しているのだ。徹が私と大谷の関係に気づいていないわけがない。実際、今日も急ぎの仕事だけを終え早々に席を立った私に、徹は何か言いたげな視線を向けてきた。

...理性を保てず愛欲に溺れた私を、徹はどう思っているのだろう。浅はかな女だと軽蔑しているだろうか。

自分でもわかっているから、今は正論など聞きたくなかった。

だがいくら見ないようにしていても、現実はそこにある。いつまでも逃げ続けられるわけがないのだった。


深夜、突如として来客を知らせるベルが鳴り、私は反射的に背筋を凍らせた。

時刻は23時を回っており、宅配便の配達時間ならとうに過ぎている。

−誰…?

バクバクと音を立てる心臓を抑えながら、私は「まさか」と頭をよぎる考えを必死で打ち消した。

実は今日の夕方、昭人か......


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