港区に鮨店は数あれど、この店ほど、ユニークで楽しさに満ちたお店はない。
西麻布の『鮨いち』には、この街どころか、東京で最もフォトジェニックと言っても過言ではない握りがある!
実直な鮨だが、見せ方にセンスが光る。これが、港区で一番映える〝うに〟
『西麻布 鮨いち』の「うに鮨」
世は空前のうにバブル。鮨店はもちろん、肉自慢のレストランにも、酒場でも、うにを使ったメニューが並ぶ。まさに、ネコも杓子もの状態。
しかし、断言しよう。港区で最も美しいうには、西麻布交差点裏にひっそりと暖簾を掲げる『鮨いち』にある。
店主の佐藤氏は、港区内の鮨店で修業を積み、3年前に独立。
この街の空気感をいち早く読み取るセンスと柔軟性にあふれる店主が、「記憶に残る鮨を」という想いを表現したのが、こちら。
スプーンにこんもりと盛られた様子は、かまくらのようで、なんとも可愛らしい。2種のうにを贅沢に使い、シャリにもうにを混ぜ込んだ、まさに純度100%の一品だ。
シャリに混ぜたうには北海道・礼文島のもの。軽く蒸すことで甘みをぐっと引き出している。
上には青森県の紫うにをたっぷりとのせて。ほぼ手毬サイズのうに鮨をほおばれば、得も言われぬ幸福感に包まれる。
このビジュアルもさることながら、味のインパクトも絶大。
舌が肥えた女子も、この「うに鮨」の前では平常心ではいられまい。
無論、ほかのネタにも趣向あり。
軽めに炙ったのどぐろの手巻きや、その場で焼き上げ、野生的な香りを引き出した鰻の握りなどが続々と登場する。
「値段もさぞや……」な豪華ラインナップだが、コースは1万3,000円からと、良い意味で期待を裏切る良心価格。
丁寧な仕事に宿る真心と、チャーミングな遊び心。これこそが港区鮨の真髄といえるだろう。
Photos/Ryoma Yagi, Text/Keiko Kodera
年末は「港区」でワクワクしたい!
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