天現寺ウォーズ Vol.13

2018上半期ヒット小説総集編:「天現寺ウォーズ」

あなたは、知っているだろうか。

東京の勝ち組女である“港区妻”に、実は純然たる階級があることを。

その頂点に君臨するのは、生まれ育った東京で幸せに暮らす、生粋の「東京女」である。

一方で、たった一人で上京し、港区妻の仲間入りを果たした女たちもいる。東京の婚活市場をすんなり勝ちぬいた桜井あかりもその一人だ。

東京女を相手にあかりが挑むのは、婚活の先に待ち受けている港区妻究極の総決算。それは、慶應幼稚舎受験である。

今、あかりの前に、「女の見えない天井」が現れる!

「天現寺ウォーズ」一挙に全話おさらい!

第1話:慶應幼稚舎入学は、この世の“フリーパス”!?元CA妻がゼロから挑む、お受験戦争

すると百合が話にならないというように首を振った。

「違うよー、受験の話だよ。あかりは大学、慶應だよね?だから旬くんも天現寺が第一希望なのかなって。今年急に港区に越してきたのもそのためじゃないの?うちはそろそろラストスパートの年長だから、私が昔通ってたお教室のほかに、大手にも通いはじめたんだ」

玲奈が妙に真剣な表情でうなずいた。

「ついにこの時がきたわね。ここで一生が決まる」

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第2話:受験前に“当確”キッズを把握!?地方出身妻が愕然とした、東京妻との情報格差

「それって、お受験の世界では常識なのかな…?」

思わずつぶやくあかりに、ルリが笑う。

「お受験ていうか…東京で生まれて下から私立なら、ひとりくらいは幼稚舎に友達いるしね」

―東京で生まれていれば。

その言葉はあかりの胸に刺さった。

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第3話:慶應幼稚舎の校章は、6歳で得る“特権階級”の証。コネも権力ない元CA妻に、勝機はあるのか?

北条ミキの言葉に、あかりは深くうなずいた。大学受験で慶應を受けたときも、航空会社を受けたときも、こんな気持だった。

―途中で挫折するかもしれない。…でもやらなかったら、きっと後悔する。

何も知らないからこそできる無謀な挑戦というものがあることを、あかりはこれまでの経験からよく分かっていたのだ。

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第4話:“幼稚舎同士婚”は、お受験合格への通行手形!?慶應幼稚舎妻のお茶会で感じた、圧倒的な格の違い

―誕生日でも何でもないこの集まりに、バルーン専属のスタッフを……?

あかりはそっと部屋を見回す。ソファをしつらえた部屋の、バルーンを作成している反対側では、板前のような男性がネクタイを締めて寿司を一心不乱に握っている。

「あかり、旬君のお料理とオードブルはあっちから好きなのとってね。お寿司は、昼間だから馴染みのお店が、特別に来てくださったの」

よくよく見れば、あかりもいつかは行ってみたいと思っていた名店の文字が布巾に入っている。

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第5話:慶應幼稚舎入試、それは壮大なオーディション!サラリーマン家庭出身者の、逆転勝機の秘訣とは

凛子の言葉に、あかりははっとして顔を上げた。

「先生は、あかりちゃんと修司さんが大学慶應出たくらいじゃ何のコネにもならないけど、旬くんには稀な素質があるって言ったよね」

「うん……。私は必死で勉強して大学から慶應入ったくらいだけど、旬には素質があるって言われた」

凛子はすかさず、あかりにスマホの画面を見せる。

「これ、遠足の集合写真。見て。誰が一番目立つと思う?」

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第6話:慶應幼稚舎受験の天王山!港区妻に与えられた、驚愕のセレブミッションとは

いくつかの講座を組み合わせれば、夏休みだけでここに最低50万円ほど払うことになるだろう。

対策合宿に行き、他の学校の受験も視野に入れれば100万円だってあっと言う間だ。

講座を厳選しよう、とパンフレットに目を落とすと、50歳前後の痩せた男が入室し、ホワイトボードの前に立った。どうやらここの講師のようだ。母親たちが一斉にお辞儀をする。

「それでは幼稚舎受験生のお母様、お子様の男女別、生まれ月順に並んでください。今から夏休みの旅行先と内容について指示します」

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第7話:お受験ママからの非情過ぎる密告。平凡サラリーマン家庭から慶應幼稚舎は、やっぱり無理なの?

既製品でもOKとされる男子でこうなのだから、オーダーメイドが主流の女子はどんなに迷うことか…と考えたとき、人一倍面接服には拘ると言った百合の顔が浮かんだ。

「あかりまだそんなこと言ってるの!?私は3月の受注会でとっくにベストパターン決めてたわよ!」

相談すると翌日に飛んできて、旬にあらゆる組み合わせで服を着せ、アドバイスをしてくれたのだ。

「で、ここまでで及第点。あと一つ、他と差をつけるとしたらね…?」

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第8話:幼稚舎不合格は、絶対に許されない。慶應一族に嫁いだ特権階級妻の苦悩

「旬がいるなら、運動会をボイコットするということですか…?」

いつもにこやかに話しかけてくれる、同じクラスの母親たちの顔が、代わる代わる頭に浮かぶ。

一体、誰が園長に直訴したのだろうか。旬はこれまでトラブルを起こしたことはなかったし、クラスの中心的な存在で友達も多い。

心臓を掴まれたような息苦しさを感じ、冷静になろうと深く呼吸した。

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第9話:生粋のセレブ妻がすべてを賭ける、慶應幼稚舎受験。試験開始10分で決まった無残な結末とは

あかりはときどき、玲奈の娘の莉奈と知樹はクラスメートになるのかな、と想像する。

入学するとK・E・I・O組に分かれ、6年間クラス替えのない幼稚舎。経営者、医者、それ以外など、親の職業で大まかにクラスがわかれるという噂もある。旬も二人と一緒に通えたら、夢のようではあるけれど。

―しかしその数週間後、その夢は無情にも打ち砕かれることになった。

第9話の続きはこちら

第10話:運命の慶應幼稚舎合格発表。6歳で得る“16年モノ”エンブレム争奪戦の、意外過ぎる結末

あかりの元に戻って来た旬の第一声は、こうだった。

「すっごく楽しかった!」

あかりは、それで十分だと思った。

ほんの、100分。そこで見られたことだけが、旬の全てだとは思わない。受験の結果が、今後の人生の結審ではないからだ。

そして同時に、親と離れ、旬がたったひとりで力の限り頑張った100分間に思いを馳せる。自分が6歳の時に、そんなことができただろうか?結果はどうあれ、旬は自分の足で立って精一杯頑張り、帰ってきたのだ。

第10話の続きはこちら

第11話:慶應幼稚舎の合格を手放した、セレブ妻の意外過ぎる決断。そして運命の歯車が狂いだす・・・

「1次抽選合格者はこのまま着席していてください。通過されなかった方は、ご退出ください」

アナウンスを合図に、講堂に溢れるほどいた保護者の5分の4が、無言のまま退席する。座ったままの保護者、すなわち2次の受験資格を得た人たちは、声に出さないものの、頬が紅潮していた。スクリーンの抽選結果を見て、旬の番号がないことをもう一度確認してから席を立つ。

出口に向かうとき、ここにいるはずのない顔を見た気がして、あかりは思わず会場を見渡した。

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