ゲーム機器メーカーの京都本社に勤める一ツ橋紀夫(ひとつばし・のりお)は正真正銘の庶民。
“普通”で平凡な日々を送る紀夫が出会った美女・萬田樹里(まんだ・じゅり)は、なんと全国に名を轟かせる老舗和菓子屋のひとり娘。
距離を縮めていくふたりだが、偶然にも紀夫が3年前に別れた元カノ・一二三薫と再会。
実は恋人に裏切られたばかりだった薫は「私とやり直そう」などと言いだす。
さらに、紀夫と樹里を悲劇が襲う。なんと、樹里の許嫁・貴志にすべてを知られてしまっていた。貴志は紀夫の家にやってきて「手切れ金500万で樹里と別れてほしい」と迫る。
一旦は身を引く紀夫だったが、貴志の裏の顔を知り考えを改める。そして家を出てきたという樹里を部屋に入れるのだった。
ご令嬢との、蜜月の日々
「ノリちゃん。今夜、何食べたい?」
決して広くない玄関に、樹里が見送りにくる。
「ノリちゃん」と呼ばれるその響きがくすぐったくて、紀夫は照れを隠すように急いで靴を履いた。これまでずっと樹里は「紀夫さん」と“さん付け”を崩さなかったが、昨夜ふたりで新しい呼び名を決めたのだ。......
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この記事へのコメント
駆け落ちってワケにもいかないわけだし。
お嬢様は『逃げる』以外に、選択肢なかったのかしら。