ノリオとジュリエット Vol.6

「ガツガツしてて、怖い」京都のご令嬢が、他県出身の庶民女を嫌う理由

この日は、「家に行きたい」と言う樹里を説き伏せ、紀夫はひとりで帰宅した。

毎週のように外泊していては、樹里の親が心配してしまうだろう。彼女には“許嫁”がいて、紀夫はまだ公に知られてはならぬ存在なのだ。

そのことを考えるとき、紀夫の胸はチクリと痛む。どこか自尊心を傷つけられたような、そんな気持ちになる。

電車に揺られながら、コンビニでペットボトルのお茶を買いながら「彼女が老舗和菓子屋のご令嬢でさえなければ...」と思わずにいられない。

そんなこと、願うだけ無駄であるとわかってはいても。


薫の提案


まるで紀夫が自宅に戻るのを待っていたかのように、家に着いた途端に着信が鳴った。

画面に表示されている名前は、一二三薫。

彼女と連絡を取るのは、『ル・プチメック』での再会以来である。薫は今、レギュラーだったキー局の朝の情報番組を“お休み”(という名の実質降板)し、滋賀の実家......


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