パーフェクト・カップル Vol.26

敏腕芸能マネージャーが語る、人気アナウンサーのスキャンダルの裏側と、最後の秘密

誰もがインターネットやSNSで監視され、さらされてしまうこの時代。

世間から「パーフェクトカップル」と呼ばれ、幸せに暮らしていた隼人と怜子。しかし結婚6年目、人気アナウンサーの夫・隼人が女の子と週刊誌に撮られてしまう。彼を陥れたのは、2人の悪意の偶然の連鎖の結果だった。夫のピンチが続く中、妻は番組での夫婦共演で夫を救うことに成功する

元カノ・橘さやかは諦めず、夫婦に2度目のスキャンダルを仕掛けてきた。夫婦は自分たちだけで記者会見を開いたが…

その一部始終を見守っていた、敏腕芸能マネージャーが語る、騒動の裏側と、パーフェクトカップルの1年後の姿とは?


芸能マネージャー香川東吾の考察①:堀河隼人という人は、しぶとく面白い。


「東京オリンピック、うちのメインアナウンサーは堀河で行こうと思います。ほぼ社内の意見はまとまりました。」

東京オリンピックまで、あと1年。

そのオリンピックに向けて、数年前から各テレビ局ではプロジェクトチームが組まれていて、今日はそのキャスティングの打ち合わせに来たのだが。

オリンピックプロジェクト全体を統括する総合演出であり、堀河アナが所属するテレビ局のエースディレクターでもある男の言葉に、私は驚きとともに、苦笑いのようなものがこみ上げる。

―しぶといですね、堀河さん。

あの堀河アナが開いた記者会見から、ちょうど1年ほどが経つ。

堀河アナは、徐々に深夜番組やスポーツ番組のナレーションでその声を聞くことが多くなってはいたが、ついに華々しい表舞台に復活の道が用意されたというわけか。

しかし、私は納得が行かなかった。

「上層部の皆さんも含めて、よく決断されましたね。堀河アナの視聴者からの好感度は、完全に復活したわけではないでしょう。」

自分でも珍しく本心がそのまま口に出たな、と思ったが聞かずにはいられなかった。

あのスキャンダルの後に発表された「好きなアナウンサーランキング」で堀河アナは、3年連続1位の座から陥落し、10位に。

騒動の割には健闘したとは言えるが、最早スターアナウンサーではない。

私の質問にディレクターは、リスクは承知の上です、と言って続けた。

「堀河なら、海外の選手やメディアにも対応できる能力がありますし、腐らず努力を続けた彼に対して、ここ最近の視聴者の反応は好意的なものに変わってきています。それに、上層部にも後悔とか、申し訳ない気持ちがあって。」

「後悔ですか?」

「我々は本来、真実を伝える報道機関であるはずなのに、あの騒動の時、視聴者や世間の『不確かな情報』に負けて、社員を…堀河を守れなかったし、その後のサポートもしていない。

結果的に堀河は会社の力を借りずに、自分自身でここまで這い上がってきたわけなんですが。」

だから今度こそ会社が堀河を守り、チャンスを与えなければ、と熱弁を続けるディレクターを、私は冷めた気持ちで眺めていた。

―今更、罪滅ぼしってわけですか。

ディレクターは、正義の理論を述べたつもりなのだろうが、所詮、後付けの言い訳。私には、自分達の自己満足、御都合主義の主張にしか聞こえない。

リスクを背負うとは言っても、結果的に今、堀河アナの人気が回復の兆しが見えたからこそのキャスティングに過ぎず、本当に堀河アナの人気が失墜し地に落ちていたら、この話があったとは思えない。

ただ私も、あの時局が堀河アナを降板させた事に関しては、正しかったとは感じている。

あれ以上視聴者からのクレームが続けばスポンサーを失い、ビジネスとして大打撃を受けるからだ。



―しかし理由がどうだとしても、彼はまたエースになるチャンスを与えられた。ただの運というべきか、それとも…。

堀河アナという人は、やっぱり興味深い。

どこまでもしぶとく、面白い人だ。

【パーフェクト・カップル】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo