パーフェクト・カップル Vol.25

全てを失うのは、誰?清純な悪女vs人気アナウンサーの戦いに、世間が下した非情なジャッジ

誰もがインターネットやSNSで監視され、さらされてしまうこの時代。

特に有名人たちは、憧れの眼差しで注目される代わりに、些細な失敗でバッシングされ、その立場をほんの一瞬で失うこともある。

世間から「パーフェクトカップル」と呼ばれ、幸せに暮らしていた隼人と怜子。しかし結婚6年目、人気アナウンサーの夫・隼人が女の子と週刊誌に撮られてしまう。夫のピンチが続く中、妻は番組での夫婦共演で夫を救うことに成功する

元カノ・橘さやかは諦めず、夫婦に2度目のスキャンダルを仕掛けてきた。絶体絶命に追い込まれた夫婦は、世間に立ち向かう決意をし…最後の戦いが始まる!

「世間の目」に囚われ、「理想の夫婦」を演じ続けてきた「偽りのパーフェクトカップル」の行く末とは?


怜子:「全てがウソ、だと思わないで欲しい」


「怜子、大丈夫?」

ドアの前で、隼人にそう聞かれて頷いた。私の緊張が伝わったのだろう。隼人が私の手を握ってくれて、私たちは手を繋いで部屋に入った。

社長に用意してもらった、事務所の会議室。中にいたのはカメラマン、記者を合わせて20名くらいだろうか。

記者会見と呼ぶには小さな規模だが、中には著名な芸能記者も数人いた。私たちの告白内容次第では、彼らが出演するワイドショーのネタになるのだろう。

他局のワイドショーに面白おかしく編集して使われ、隼人の局に迷惑が掛かることを避けるために動画の撮影は断ったので、テレビカメラはいない。

シャッター音が落ち着いたタイミングで私達は並んで座り、隼人が話を切り出した。

「まず、今回の記事の女性は、私が怜子と結婚する前に、プロポーズした女性であることは間違いありません。」

隼人の言葉に、記者たちが一斉にシャッターを切り、フラッシュの光に目眩がする。

「記事に書かれていたことで反論したいのは、私は彼女を捨てて怜子を選んだわけではない、ということ。そして怜子と結婚してからは、写真誌に撮られるまで、一度も彼女にあったことはない、ということです。」

「それを、証明できることはありますか?」

記者の質問に隼人は正面をむいたまま、隣に座る私の手を、机の下でそっと握り…そして言った。

「記事に対する皆さんの疑問に正直に答えていきますので、あとは皆さんが判断してください。」

室内の空気が一瞬、ピン、と張り詰め…緊張感の中、記者の質問が始まった。



記者たちの質問は、細かく、鋭かった。

私と隼人は、質問に全て正直に答えた。出会い、打算のプロポーズ、世間の求める「理想の夫婦」を演じるようになった結婚生活。

開始から30分も経つと、私たち夫婦が6年以上隠し続けたことが、あっさりと皆の知るところになった。

会場に呆れたような空気が漂い始め、私は焦った。どうしても伝えたいことがあるのに、その質問は来る気配がないから。

耐えられず私は、聞かれてもいないことを、思い切って話し出す。

「皆さんに誤解して頂きたくないのは、始まりは、たしかに…。あの、たしかに、私の見栄や、打算のプロポーズでしたけど、結婚して本当に幸せでした。息子を授かりましたし、私は…その、結婚してから…夫に、恋をしたんです。」

だから、全てがウソだと思わないで欲しい。そう続けようとした私の言葉は、記者の質問に遮られた。

「最初に週刊誌に撮られた時に、自宅取材を受けられてますよね?」

「…あ、はい…」

男性記者の冷たい声に、私は反射的に返事をした。

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