崖っぷち妊活物語 Vol.11

「生きた心地がしない...」結婚4年目。“陽性”という一本の線を待ち続けた女の、最終手段の結果

―私、もしかして...?ー

結婚相談所に助けられながら、気が遠くなるほど壮絶な婚活を経て、晴れて結婚ゴールインを果たした女・杏子。

一風変わったファットで温和な夫・松本タケシ(マツタケ)と平和な結婚生活を送り、はや2年。

34歳になった彼女は、キャリアも美貌もさらに磨きがかかり、順風満帆な人生を歩む一方、心の隅に不妊の不安を抱えていた。

藤木というスパルタ婦人科医の診察に憤慨し、患者をVIP待遇する病院に転院した杏子。

女子会マウンティングにもめげずに治療に励むが成果は出ず、藤木の元に舞い戻り、とうとう体外受精に踏み切った


これまで杏子は、“フライング検査”というものの常習犯であった。

それは生理予定日より前に妊娠検査薬を試すことであるが、海外から、早期の妊娠ホルモンにも反応するキットを大量に取り寄せたりもしていた。

だが、それを一つ一つ消費していくたび、杏子が心をすり減らしていたのは言うまでもない。

一向に妊娠反応の出ない検査薬を蛍光灯や太陽の光にあらゆる角度から照らしてみたり、ネットで“しばらく時間が経ってから反応が出た”という情報を得て、ゴミ箱に捨てた検査薬を漁ったこともある。

それでも、“陽性”という一本の線は、待てど暮らせど現れてはくれなかった。

―今月もダメだった...。また1ヶ月ムダになったわ...。

そして生理がくるたび、妊娠もしないのに、一体何のために長年痛みを耐えながら血を流し続けるのだろうと思った。

病院に通い、食生活やあらゆる生活習慣に気をつけているにも関わらず、毎月見事に“陰性”という結果を受け入れなければならない虚しさは、きっと経験者にしか分からないだろう。

期待しない癖はついていたが、杏子はその度に女としての機能に自信喪失し、落胆を繰り返してきたのだ。

だが、体外受精に踏み切った杏子は、今回だけは決してフライング検査はすまいと自分に誓っていた。

もしもダメだったとしても、最後の1日...いや1分1秒の瞬間まで、自分の子宮に戻した受精卵の可能性を信じたかったのだ。

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