崖っぷち妊活物語 Vol.5

「女は子どもを産んで、初めて一人前になるの」。不妊に悩む女を襲う、残酷なマウンティング

―私、もしかして不妊...?ー

結婚相談所に助けられながら、気が遠くなるほど壮絶な婚活を経て、晴れて結婚ゴールインを果たした女・杏子。

一風変わったファットで温和な夫・松本タケシ(マツタケ)と平和な結婚生活を送り、はや2年。

34歳になった彼女は、キャリアも美貌もさらに磨きがかかり、順風満帆な人生を歩む一方、心の隅に不妊の不安を抱えていた。

藤木というスパルタ婦人科医の診察に憤慨した杏子は、患者をVIP待遇する病院に転院し、痛みの伴う治療を開始した。


通称“ゴールデンタイム”に突入した杏子は、本格的な妊活に躍起になっていた。

結局、激痛を伴った“卵管造影検査”もマツタケにも何の異常もなく、これまでの検査結果はすべて良好。医師が下したのは“原因不明不妊”という何ともあやふやな診断だった。

—何が悪いのか分からないんじゃ、改善しようがないじゃないの...!

杏子の焦りと苛立ちは募るばかりだったが、よくよく調べてみると、不妊夫婦の約3割はこの憎き“原因不明”という結果を突きつけられるらしい。

そうして杏子は、半ば盲目的に“妊活に良し”とされるものを手当たり次第試すようになった。

とにかく冷えに敏感になり、お腹や腰は常にカイロで温める。よもぎ蒸しや針治療にも通うようになったし、夜はできるだけ早く就寝するべく、昼間は死に物狂いで仕事に励む。

食事にもいっそう気をつけるようになった。添加物や化学調味料に敏感になり、自宅での食事はOisixの有機野菜を取り寄せたスタミナ料理中心だ。甘いものも口にしないと決めた。

もちろん、マツタケにもファストフードやラーメン、コンビニお菓子はすべて禁止した。

さらにはインターネットで妊活用サプリや温活をグッズ買い漁り、基礎体温も毎朝6時きっかりに測る。

それでも、そんな杏子の努力を嘲笑うかのように、生理は必ず予定日ピッタリにやってきた。

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