崖っぷち妊活物語 Vol.4

崖っぷち妊活物語:精神的にツラい。肉体的に痛い。それでも彼女が“不妊治療”に立ち向かえたワケ

―私、もしかして不妊...?ー

結婚相談所に助けられながら、気が遠くなるほど壮絶な婚活を経て、晴れて結婚ゴールインを果たした女・杏子。

一風変わったファットで温和な夫・松本タケシ(マツタケ)と平和な結婚生活を送り、はや2年。

34歳になった彼女は、キャリアも美貌もさらに磨きがかかり、順風満帆な人生を歩む一方、心の隅に不妊の不安を抱えていた。

藤木というスパルタ婦人科医の診察に憤慨した杏子は、患者をVIP待遇する病院に転院したが...?


―また、キタ...。

オフィスの化粧室の中で、杏子は一人大きく肩を落とした。

病院で正確な排卵日を診てもらうようになってから、3回目の生理が来たのだ。

2回目までは、まだまだ気楽に考えていた。だが今回は、医者の勧めで軽い排卵誘発剤まで処方されたにも関わらず、やはり予定日ピッタリに生理はやってきた。

―もしかして私、本当に不妊症なの...?

これまでどこか他人事のように思っていた......いや、思おうとしていた“不妊”という言葉が、現実のものとして押し寄せてくる。

「あら、杏子」

化粧室を出ると、由香とバッタリ出くわした。バツイチにして年下のエリート男と授かり婚という大業を成した彼女のお腹は、以前よりも膨らみを増している。

「由香...お腹、大きくなったわね...」

だが、彼女は相変わらず少女のような可憐な笑顔を浮かべ、お腹以外は華奢な体のままだった。ハッキリ言って、これほど可愛い妊婦は見たことがない。

「そうなの。とにかく重くて嫌になっちゃう。さっさとお腹から出して、ダイエットしたいわ。いいなぁ、杏子はいつも綺麗で」

「由香なら、すぐに元に戻るわよ...」

比べてはいけない、と思いつつも、杏子の声は少しかすれてしまう。

「そうかな。しかもね、このお腹の突き出る感じ、ほぼ男の子なんだって。本当は女の子がよかったのに...」

ふぅ、と溜息をついてお腹を抱える由香を前に、杏子は今、自分がうまく笑顔を作れているか不安で仕方がなかった。

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