崖っぷち妊活物語 Vol.7

「これ以上アンハッピーにならない?」。傷ついた妻の心を癒した、ファットな夫の本音

―私、もしかして不妊...?ー

結婚相談所に助けられながら、気が遠くなるほど壮絶な婚活を経て、晴れて結婚ゴールインを果たした女・杏子。

一風変わったファットで温和な夫・松本タケシ(マツタケ)と平和な結婚生活を送り、はや2年。

34歳になった彼女は、キャリアも美貌もさらに磨きがかかり、順風満帆な人生を歩む一方、心の隅に不妊の不安を抱えていた。

藤木というスパルタ婦人科医の診察に憤慨した杏子は、患者をVIP待遇する病院に転院し、痛みの伴う治療を開始した。

子持ちの女から辛いマウンディングを受けながらも、治療をステップアップするが...?


「今回も残念でしたね…」

担当の女医は、少しだけ申し訳なさそうに言った。

人工授精が失敗に終わったのはすでに3回目で、“陰性”になることにも慣れてしまった。不妊の原因も未だ分からぬままだ。

とはいえ、毎回淡い期待を裏切られるのに少しずつ精神は削られ、無残に時間だけが過ぎるのは何とも言えない焦りが募る。

判定を待つ間はとにかく検索魔になり、下腹部や脚の付け根がチクチク痛むとか、胸の張りが強くなるとか、些細な体調変化が妊娠超初期症状なのではないかと過敏になった。

一体いつまで、このソワソワと落ち着かない日々を過ごすのだろうか。

「もうあと2、3回、人工授精で様子を見ましょうか。また、今後のステップアップもそろそろ考えたほうがいいかもしれないですね」

女医は、まるで杏子の心を見透かすように続ける。

「それは...体外受精...ってことですか?」

「そうです。体外受精の説明会は月に何度か開催してますので、お時間あれば参加してみてくださいね」

そのとき杏子は、初診で「体外受精を視野に入れろ」と通告した直人そっくりの医者・藤木の顔が頭に浮かんだ。

あれから、もう随分と長い時間が経過していた。

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