崖っぷち妊活物語 Vol.6

美人で仕事ができても“かわいそう”。どこまでも無情な、東京女のヒエラルキー

―私、もしかして不妊...?ー

結婚相談所に助けられながら、気が遠くなるほど壮絶な婚活を経て、晴れて結婚ゴールインを果たした女・杏子。

一風変わったファットで温和な夫・松本タケシ(マツタケ)と平和な結婚生活を送り、はや2年。

34歳になった彼女は、キャリアも美貌もさらに磨きがかかり、順風満帆な人生を歩む一方、心の隅に不妊の不安を抱えていた。

藤木というスパルタ婦人科医の診察に憤慨した杏子は、患者をVIP待遇する病院に転院し、痛みの伴う治療を開始した。

そんな中、子持ちの女から辛いマウンディングを受けてしまい...?


「女は子どもを産んで、初めて一人前になるのよ」

元同期の麗奈の口から放たれた言葉に、杏子は思いがけない打撃を食らった。

傷ついたとか腹が立つという感情の前に、ただただショックが大きすぎて、全身の感覚が麻痺したように硬直してしまう。

しかし麗奈は、そんな杏子にお構いなしにさらに続ける。

「それに...旦那なんて所詮は他人だし、愛情が続く保証なんてないでしょう?それに比べて、子どもは絶対的な女の幸せよ。一度母になったら、もう子どもの存在なくしては絶対に生きていけないんだから」

彼女は杏子を諭すように微笑んだが、その瞳に浮かぶのが本物の親切心なのか、よく分からない。

だが、そういえば独身の頃も、こんな風に他人の言葉に自分を否定されることは度々あった。

―いくら美人で仕事がデキても、30代で独り身はかわいそうー

結局、この大都市東京に於いても、“女の幸せ=結婚して子どもを持つこと”という概念は深く世間に根付いたままだ。

どれだけ仕事に邁進し、人生を充実させようと、夫や子どものいない女は世間から憐れまれ、もしくは“変わっている”と見なされる。

そして、既婚よりも独身、子持ちよりも子ナシの女の方が、否応なく肩身の狭い立場になるのだ。

久しぶりの女子会で杏子が痛感したのは、そんな女の無情なヒエラルキーだった。

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