寿退社したものの Vol.16

寿退社したものの 最終回:「期待する」は不幸の始まり?妻が気づいた、夫婦円満の秘策

結婚したら、寿退社♡

一昔前まで、それは女性の人生における最初の小さなゴールだった。

家庭に入り、料理の腕を磨き、夫の帰りを待つ。

だが、2017年の東京で「専業主婦」は、本当に憧れるべき存在だろうか?

専業主婦だった志穂は、自立のために復職した。義母ともめるなどうまくいかず、思わず家を出てしまうが、結果夫婦仲は安定した。

精神も安定し、義母も謝罪したが、2人目出産お受験のプレッシャーにも襲われる。


ひな、5歳。


「ママ!」と呼ぶ娘の声で、我に返った。

休日のショッピングモール。親子連れで賑わう場所で、志穂は娘のひなと2人で女の子向けの雑貨屋にいる。

あれこれ小物を選んでいる娘が、めぼしいものを見つけ自分を呼んでいる。

「ママ、これにするね!」

手元には、キラキラしたラメがついたカラフルなゴムやネックレス、指輪などのセットが、ごちゃごちゃと入っていた。志穂は、これとこれだけね、と購入するものを選別し、お金を渡し1人でレジに行かせる。

ひなは、5歳になった。

赤ちゃんらしい体型はほぼ面影なく、2歳の頃にはまるでお餅のように膨れていた頬もずいぶんと少女らしいものになっている。

こうして休日に一緒に買い物をしたりランチしたりするのも、当時と比べるとずいぶん楽になった。

まるでいっぱしの女友達のような口をきくようになったひなの成長が、嬉しくもあり寂しくもある。

ある程度ものを理解するようになり、言い聞かすことが出きるようになって育児は格段と楽になり、心の余裕もだいぶ出てきた。

嬉しそうに戦利品を持ってこちらにやってきたひなの手をつなぐ。2人でとりとめもないことをあれこれ話しながら、ただただ歩く。

志穂は、幸せを噛み締めた。

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