A2:少しでも下心が垣間見えたら、引いてしまう
ハヤトさんが連れて行ってくれたバー『THE PLATFOAM』は小さいながらも雰囲気の良い店だった。
「陽菜ちゃんは、何飲む?」
オーダーを言おうとした時、不意にハヤトさんと肘と肘がぶつかりあった。
「そうだなぁ。赤ワインをグラスでいただこうかな。」
少し恥ずかしくて肘を引っ込めた時、 ハヤトさんの手がごく自然に、さりげなく、私の背後に伸びてきた。
気づけばハヤトさんは私の椅子の背を掴んでおり、急に私はハヤトさんの腕の中に包まれたような体勢になっていた。
さっきも隣り合って座っていたのに、急に近づいてきたハヤトさんを振り払うこともできず、どうしたものかと思いながら、体を動かさないようにしながら冷静にワインを飲む。
—2軒目に行けるということで、妙な期待をさせてしまったのかな...
初デートでの男性からのボディタッチに対し、女性は身構える。
どうして焦る気持ちを、抑えられないのだろうか?少しでも男性の下心が見えると一気に冷めてしまう。“結局、目的はそっちだったの?”と思うから。
下心がある男性は山ほど見てきた。だからこそ、体ではなく心を見てくれるような男性に惹かれるのだ。
段階を踏んだ後ならば良いけれど、初デートでこの距離の詰め方は急すぎる。もう少しゆっくり進めてもいいはずなのに。
「陽菜ちゃん、次は何飲む?」
この一言で、我に返った。このまま飲んでいても意味はない。やっぱり、あの言葉を先に言っておいて良かった。
「すみません...明日、朝が早いからそろそろ帰りますね。」
つまらないデートの時、早く帰りたい時に使える最高に便利な一言。この後がないと判断した場合、この断り文句ならば相手に言っても、角は立たないだろう。
事前の布石としても使えるし、実際にデートの最中に抜け出したい時にも使えるこの言葉に、女性はいつも助けられている気がする。
「ありがとうございました!」
店を出てお礼をすると、私はそそくさとタクシーに乗り込んだ。初デートは、アッサリ帰してくれるくらいの人の方が女性は追いかけたくなるのに。
そして携帯を見つめる。金曜23時の恵比寿、誰かこの界隈で飲んでいる友達はいないかしら?
だって明日は土曜日。
明日の朝は、のんびりできる。決して、早くなんかない。
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デートの答えあわせ【Q】:二人きりの食事に行けた時点で、答えは出ている?
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この記事へのコメント
肘が当たる狭さだったから、椅子の後ろに腕を回すのも優しさだと思うけど…
これで嫌になっちゃうんだ。
彼女の方こそ相手の性格なんか見てないで、どんな店に連れて行くか&下心出すかだけで見てるんじゃない?と思った。