硝子の少年 Vol.4

硝子の少年:追うほどに遠のく、愛する彼女との距離。二人の記憶は、擦り切れていく

男なら誰にでも、忘れられない女がいる。

美しく、強く、狡猾な女、「エリカ」。

潤にとって忘れられない女は、彼女以外の誰でもない。

フリーライターとして地味な仕事をする潤と、その美貌ゆえに、煌びやかな生活を送るエリカ。彼女に強い想いを寄せる潤だが、当然ながら、まるで相手にされない。

彼女が狙うのは、自分の価値をさらに高められるような、ハイステータスの金持ちばかりだった。

にもかかわらず、潤は、どうして「高嶺の花」であるエリカを追い続けてしまうのか?

二人の出会いは学生時代。社会人になってもエリカを想い続ける潤は、「あんたなんて、5点の男」と傷つけられるが...?


年収600万円の自分を、過大評価していた


5点、5点、僕の男としての価値は、5点......。

エリカに「5点」という烙印を押されるまで、自分をもっとマシな男だと過大評価していた。

というのも、フリーランスでそれなりの定評を得るのはそれほど簡単な事でもなく、普通の一般企業に勤めるサラリーマンより価値は高いはずだと、無意識に思い込んでいたからだ。

経営者とまでは行かなくとも、僕は何もかも自分の責任で、自分自身の看板一つで仕事をしている。年収は600万円弱だが、20代半ばとしては、決して悪い方ではない。

しかし、エリカの基準は、そもそも普通レベルではなかったのだ。

有名スポーツ選手に、歌舞伎俳優、メディアでよく見かけるIT社長...。

エリカを取り巻くのは、上位1%未満の世界だ。そこに踏み入るためには、僕はどうしたらいいのだろう?それとも、このままただの話し相手として、一生彼女に憧れたまま終わるのだろうか。

いや、そんなのは、絶対に御免だ。僕はいつか、一度でいいから、エリカを手に入れたい。

長年の奴隷生活によって、僕のエリカに対する執着は、根強いものになっていた。

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