
硝子の少年:男なら誰にでも、忘れられない女がいる。
男なら誰にでも、忘れられない女がいる。
美しく、強く、狡猾な女、「エリカ」。
潤にとって忘れられない女は、彼女以外の誰でもない。
フリーライターとして地味な仕事をする潤と、その美貌ゆえに、煌びやかな生活を送るエリカ。彼女に強い想いを寄せる潤だが、当然ながら、まるで相手にされない。
彼女が狙うのは、自分の価値をさらに高められるような、ハイステータスの金持ちばかりだった。
にもかかわらず、潤は、どうして「高嶺の花」であるエリカを追い続けてしまうのか?
そんな二人の出会いは、学生時代に遡る。
「あんたの男としての価値なんて、5点くらいよ」悪女に思いを寄せる、切ない男心
人間、生きていれば、1人くらい忘れられない異性がいるものだと思う。
僕の場合、それは永遠に「エリカ」だ。
一体、僕はいつまで、彼女を追い続けるんだろう。
その距離が一生埋まらないことは頭では理解しながら、それでも、いつか彼女が自分を頼ってくれるはず。不器用な彼女を丸ごと愛せるのは自分だけに違いないと、僕は、淡い希望をいつまでも捨てることができない。
「あんたの男としての価値なんて、5点くらいよ」
鋭いナイフのようなセリフを口にしたエリカは、しかし、鳥肌が立つほどに美しかった。
獲物を狙うかのように光る大きな瞳、意地悪く薄笑いを浮かべる赤い唇、ボルドー色のニットに包まれた彼女の身体は完璧なS字ラインを描き、その下には、長くすんなりと伸びた見事な美脚が続いている。
僕はエリカの言葉に傷つきながらも、完璧な美しさを持つ彼女を、本能的に、どうしても尊敬してしまう。
いつか、この女に自分を認めさせてやる。
そんな風に思い、いつまでも彼女を諦められない僕は、頭のおかしい男なのだろうか。
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