麗しの35歳 Vol.5

「子供を持つことが幸せ」と他人に押し付ける女の完全敗北。35歳・独身の幸福な人生とは?

女性の結婚率は、35歳を境に急激に下降する。

東京で、まことしやかにささやかれる言葉だ。

他にも、身体の変化、実家の問題、将来への不安と、目を背けたいことが増えてくる年齢でもある。

だがしかし。そんな悲観を抱くことは一切なく、麗しき独身人生を謳歌する女がいた。

恭子、35歳。

彼女が歩けば、男たちは羨望の眼差しで振り返り、女たちは嫉妬する。

恭子は一体、何を考えているのか?


外資系ラグジュアリーブランドで働く部下の周平は、恭子にそっと想いを寄せ、それに気づいてしまった元彼女・瑠璃子は気が気でない。

同時に独身仲間だったはずの同僚・理奈も敵対心を抱くようになっていく。

そんな中、専業主婦のなつみは、恭子との格の差を思い知らされた一件以来、もやもやとした想いと闘っていた。


とある土曜日。私は、天王洲アイルのタワーマンションの一室で開催されるマクロビ料理教室に参加していた。

新卒で働いていた頃の会社の先輩が、結婚後独立して開いた料理教室だ。

「皆さん、こちらは、私の元後輩のなつみちゃんです」

今日初めて参加した私のことを、先輩が他の参加者たちに紹介する。

教室の集客はほとんどが口コミで、生徒の大半がラグジュアリー業界の出身者と聞いている。

レッスンを終えて帰り支度をしていると、後ろから軽く肩を叩かれた。

「なつみさん。先生に聞いたけど、恭子と知り合いなんですってね」

そう尋ねた女性が小脇に抱えているのは、恭子が勤めるブランドの鞄だと一目でわかるものだ。

「恭子なら元同期だけど…」

彼女の前のめりな様子に、少し怪訝な顔をしてしまった。

彼女の名は理奈。恭子の同僚だ。先輩のマンションから駅までの道のりを歩きながら、私たちは話をした。

「レッスン中のなつみさんの手際の良さ、さすが主婦って感じだった!お料理上手で、旦那さんは幸せ者ね!」

彼女の勢いに押されながら、そんなことないわよ、と答えると、理奈は大きく首を横に振る。

「やっぱり、男は胃袋で掴めって言うものね!でもね、知ってる?恭子なんてお料理全く出来ないでしょう?だからこの間の食事会でも男性受けがとにかく悪くって…」

眉をひそめながら面白おかしそうに語っている。

【麗しの35歳】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo