25時の表参道 Vol.12

25時の表参道:永遠の愛なんて、絶対ない。過去として葬られた、彼女との記憶。

25時の表参道。

東京のエネルギーが集結する港区にあって、そこだけ取り残さてしまったかのような静寂が流れている。

昼間は多くの人で賑わうが、深夜になると、隣の六本木とはまるで違った景色を見せる。

赤坂にある広告代理店に勤めるフミヤ・美月・亮は仲の良い同期3人組で、フミヤと美月は付き合っていた。しかし、フミヤと亮が37歳の既婚女性・静香に恋に落ち、3人の運命が狂い出す。

フミヤはついに、静香の旦那に遭遇。しかし全く動じない夫婦に違和感を覚える。

一方、美月は静香の旦那にフミヤとの仲をバラし、亮は2人のいるバーに上司を連れて行った。2人の関係を知った局長は激怒し、静香に子会社への出向を命じる。


今日は、『シカダ』で約束があった。

人混みを抜け、表参道と青山通りの交差点を、いつもより大股に、急いで歩く。

3年前、初めて『シカダ』に足を踏み入れたときのことは、今でもよく覚えている。当時はまだ25歳。リゾート感たっぷりの非日常的な空間に魅了され、足繁く通いつめた。

当時、今でも大好きなひよこ豆のディップを一緒に食べたのは、狂おしいほどに好きだった静香さんだったのか、他の女の子だったか。もう記憶があやふやだ。


―静香さん、子会社へ出向するらしいよ。


大切に、大切に育んだ恋。しかしそれは、彼女の子会社への出向とともに、呆気なく終わりを告げた。

28歳になった僕は、赤坂にあった広告代理店を辞め、独立していた。今は、代理店時代の先輩と一緒に、骨董通りにオフィスを構えている。

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