25時の表参道 Vol.7

女が着飾るのは男のためだけじゃない。自分より格上の女と、20時30分の表参道で会う時だ。

25時の表参道。

東京のエネルギーが集結する港区にあって、そこだけ取り残さてしまったかのような静寂が流れている。

昼間は多くの人で賑わうが、深夜になると、隣の六本木とはまるで違った景色を見せる。

そのブラックホールにハマってしまった、広告代理店に勤める同期、フミヤ・美月・亮。

フミヤと美月は恋人同士。しかし、フミヤが37歳の既婚女性・静香に恋に落ち、3人の運命が狂い出す。亮も静香の虜になり、それを知ったフミヤも動揺が隠せない

そして嫉妬に狂う美月は、ついに静香を呼び出したが…?


美月「肌のハリも、顔立ちも断然私の方が上。」


―20時半にスターバックス南青山骨董通り店。

藤堂課長から指定されたのは、骨董通りに2つあるスターバックスの内の一つだ。

その日は19時に仕事を無理矢理切り上げ、化粧室に向かった。

20日の火曜日、いつもより念入りに化粧直しをした。RMKのハーブミストをふりかけ、下地を塗り直す。崩れている部分だけファンデーションを塗り直し、最後にルースパウダーを軽くはたく。

アイラインもいつもより少しだけつり気味に描き、ディオールのリップを丹念に塗り直した。

―完璧。

鏡に映る自分にうっとりした。

藤堂課長と比べ、私の方が12歳も年下なのだ。肌のハリも、キメの細やかさも、そして何より私のほうが断然美人だ。目も大きいし、鼻筋も通っている。(大きな声では言えないけど、北川景子似だと亮は度々言ってくれる。)

控えめに、客観的に見て、フミヤに釣り合うのは私の方で、それを証明するために彼女と会う約束をした。

でも、化粧直しの手は一向に止まらない。

女が着飾るのは、男のためだけじゃない。認めたくないけど、自分より数段上のレベルの女と会うときに一番気合いが入るのだ。

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